2011年9月22日木曜日

「田んぼの生き物たち」その5 ヒレタゴボウ Ludwigia decurrens

ヒレタゴボウ(別名アメリカミズキンバイ)はアカバナ科の一年生草本。熱帯アメリカ原産の帰化植物である。1955年に愛媛県松山市で見出され、現在では関東から九州北部の湿地や水田に見られるそうだ。(日本帰化植物写真図鑑 全国農村教育協会 参照)
群生していたこともあり、遠目からでもその姿が分かるほどに黄色の花が鮮やかであった。


水田において、植物の面々は着実に変わりつつあるようだ。特集している田んぼにおいて、ヒレタゴボウは今回初めて見つけたものだ。(多分少し前からあったのだと思うが、僕の目が悪かったか数が少なかったのだと思う)
他にもアメリカアゼナ(ゴマノハグサ科)、アメリカセンダングサ(キク科)などの帰化植物が多く見られた。一方で在来種には減少傾向のものが多く見られる。例えばアメリカセンダングサに近縁のタウコギは平野部ではかなり減少しているし、ヒレタゴボウに近縁のミズキンバイは絶滅危惧Ⅱ類に指定される希少種となっている。帰化種と在来種との間に繁殖力の差があるのだろうか。帰化種が増えているのと在来種が減っているのとに直接の関係はあるのだろうか。よく分からない。


アメリカアゼナ Lindernia dubia
話が複雑になってしまうが、水田雑草の多くは、図鑑上では在来種とされていても、実際は弥生時代などに稲作が持ち込まれるのに伴い日本に侵入した「史前帰化植物」であるとされている。水田雑草に限らず、ナズナ(ペンペン草)やエノコログサ(ネコジャラシ)などいわゆる雑草の多くは同様に考えられている。もちろん帰化なのか、在来なのかを直接確かめることはできないが、人里ではよく見られるのに山奥に入るとほとんど見られなくなる種は、大昔に日本に渡ってきたのではないかと考えられているのだ。
そうすると、近年に新しい帰化植物が入ってきているのも、人やモノの移動がある限り「仕方のない」自然なことなのだろうか。そうではないと思うのだが・・・
とりあえず、身近な植生に少しずつ変化が生じていることは間違いない。

考えをまとめてから帰化植物問題については再び取り上げるかもしれません。今記事はとりあえずここまでとします。


特徴的なヒレタゴボウの実









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