トウキョウダルマガエルは関東以北の各地に生息する中型のカエルである。有名なトノサマガエルと非常によく似ているが、トノサマガエルは神奈川県内では西部の一部までしか分布しないこと、体の細部の特徴から今回見つけたのはトウキョウダルマガエルであると思う。
特に多くの個体が見られたのが、幅の広く流れの緩やかな住宅地に面した用水路。三面コンクリ張りで一見生き物たちの生息には適さないように見えたが、底に泥がたまり、草も周りから覆いかぶさっていて、比較的環境は良好なのかもしれない。その用水路ではドジョウも数多く見られた。足に吸盤を持たないトウキョウダルマガエルはコンクリ張りをよじ登れないとされるが、その用水路はだいぶ古く、コンクリの壁に無数の凹凸ができていたのでよじ登ることができるのかもしれない。周りの水田内にも姿が確認できた。
かつて関東などの水田で当たり前のように見られたというトウキョウダルマガエルは個体数を大幅に減らし、現在では環境省のレッドデータで準絶滅危惧に指定されている。神奈川県に限るともう一ランク上の絶滅危惧Ⅱ類だ。(詳細は日本のレッドデータ検索システムで確認してみてください)
近縁でやはり個体数の減少が著しいトノサマガエルの場合、農薬の影響もあるがそれ以上に大きく影響しているのが稲作時以外は水田から水が消える乾田化や、冬期の農地の掘り起こし、そしてイネ生育途中に行われる中干しであるという。乾田化は湿地を好む両生類のカエルにとって好ましくない環境を作るものであり、冬期の農地の掘り起こしは冬眠中のカエルにダメージを与え、中干しは成長途中のオタマジャクシに致命的なダメージを与えるとのことだ。(今、絶滅の恐れがある水辺の生き物たち 山と渓谷社 参照)トウキョウダルマガエルも似たような原因によって数を減らしているのかもしれない。
今回は多数の個体に会うことができ、ひとまず安心した。しかし今後圃場整備が行われ、突然住処を奪われることがないともいえない。注意しながら見守っていきたい。
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