2013年1月22日火曜日

足田輝一 雑木林の博物誌

もう35年も前に出版された本である。足田輝一さんが朝日新聞を退社したのちに書かれたもので、舞台は西日本や海外にも及ぶがほとんどが東京都内。農工大に通う身として身近な高尾山や、稲城、片倉など武蔵野の雑木林の自然が多く取り上げられている。
武蔵野の景観を形作ってきた雑木林や草原(二次的植生)は、高度経済成長以後急速に開発され、また薪炭などとしての利用がなされなくなって遷移が進行しつつある。近頃は身近な自然(里山)を守ろう、という動きが目立ちつつあるが、足田さんはもう40年近くも前に雑木林などの素晴らしさについて触れているのである。
足田さんが本書の中で描いた自然は今どうなっているのだろうか。自分の目で確かめなければ、と思う。

2013年1月5日土曜日

1月5日 水田雑草の観察

1月5日
家族との散歩のついでに藤沢市内の水田の植物を観察した。この時期は大抵の種が花を付けていないので、なかなか種類が特定できなくて難儀する。花期の姿が載った図鑑は多いものの、幼植物の段階が載っている図鑑はあまりない。
春先に花が咲いた状態を観察して、来年からはきちんと同定できるようになりたい。


タネツケバナ Cardamine scutata (アブラナ科)
水田内のあちこちに生育していた。花期は春のはずだが、開花している株も多かった。

スズメノカタビラ Poa annua (イネ科)
タネツケバナと並んで多く見られた種。こちらは開花しているものは少なかった。多くのイネ科と同じくあまりぱっとしない花だが、拡大してみると紫に色づいて意外ときれいだ。
ヒロクチゴケ Physcomitrium eurystomum (ヒョウタンゴケ科)
ヒロクチゴケ、でいいと思うが、アゼゴケなどの類似種もあるそうだ。僕にとってコケはほとんど未知の領域である。
胞子体(コケの花)は、みずみずしく、よく見る他の蘚類(といっても具体的な種が挙げられないが・・・)の胞子体に比べて弱々しいように見えた。周囲にはしぼんだような胞子体や、柄だけになったものも多く見られた。蘚類の胞子体は頭の帽子がぱかりと外れてそこから胞子が飛び出すイメージがあるが、この種はどのように胞子を散布するのだろうか。

他に水田内で観察した種。 ・オランダガラシ ・セリ ・ノミノフスマ ・タガラシ ・キツネノボタン
昨年春(5月)に観察した時には、カワヂシャ、オオカワヂシャ、ムシクサ、スズメノテッポウなども観察できたので、これらの幼植物も既に芽生えていたかもしれないが、分からなかった。


近くの遊水地を歩いたところ、環境省のレッドデータで準絶滅危惧種に指定されているタコノアシ Penthorum chinense
の群生を見ることができた。既にほとんど種子を散布し終えて枯れていたが、「蛸の足」の由来になった花序の形状が印象的だった。
ちなみにこの種はユキノシタ科に分類されたり、ベンケイソウ科に分類されたりと、なんの仲間なのか様々な説があり、DNAの解析による分類では独立したタコノアシ科として扱われるそうだ。




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2013年1月1日火曜日

12月31日 鎌倉の海岸を歩く

今年も残すところあと1日となりました。来年も有意義な1年にしたいと思います。

飼育しているハチジョウナナフシ(飼育記はこちら)のエサのカジイチゴを探しに鎌倉方向に出かけた。カジイチゴは僕の住む藤沢の沖積地には少なく、江の島から東の岩地(三浦層群、葉山層群)に多いようである。
目的のカジイチゴは手に入れ、海岸の植物を観察することにした。
点々と生えていたハマオモト(ハマユウ)。生育していた場所からして自生と思われるがちょっと分からない。家の周りでよく植栽されている植物でもある。
こちらはハマエンドウ。神奈川では減少傾向にある種だそう。春には花が楽しめるだろう。
幅20メートルくらいにまとまって生育していた。あとで調べてみると、現在鎌倉市自生地は一つだけとのこと。ということは恐らく、僕が観察した群落がそれということなのだろう。
砂浜の幅はかなり狭い。仮に台風による高波や津波に襲われたら群落ごと破壊されてしまうのではないだろうかと不安である。
ヤツデの花。ハエが来ていた。

イソギク。

見つけた植物。(分類は新エングラー体系に従います) ・イネ科sp(イネ科など勉強しなくては・・・) ・ハマスゲ(カヤツリグサ科) ・ハマオモト(ヒガンバナ科) ・クサスギカズラ?(ユリ科) ・ヤマグワ(クワ科) ・ラセイタソウ(イラクサ科) ・ヒメツルソバ(タデ科)(帰化種) ・ツルナ(ハマミズナ科) ・オシロイバナ(オシロイバナ科)(帰化種) ・シロザ(アカザ科) ・タブノキ(クスノキ科) ・シロダモ(クスノキ科) ・ヤブニッケイ(クスノキ科) ・アオツヅラフジ(ツヅラフジ科) ・ハマダイコン(アブラナ科) ・トベラ(トベラ科) ・テリハノイバラ(バラ科) ・カジイチゴ(バラ科) ・ナワシロイチゴ(バラ科) ・ハマエンドウ(マメ科) ・マサキ(ニシキギ科) ・ツルウメモドキ(ニシキギ科) ・マルバグミ(グミ科) ・ヤツデ(ウコギ科) ・カクレミノ(ウコギ科) ・ボタンボウフウ(セリ科) ・アシタバ(セリ科) ・ハマボッス(サクラソウ科) ・ハマサオトメカズラ(アカネ科)・ハマヒルガオ(ヒルガオ科) ・イワダレソウ(クマツヅラ科) ・イヌホオズキsp(ナス科) ・クコ(ナス科) ・トウオオバコ(オオバコ科) ・スイカズラ(スイカズラ科) ・イソギク(キク科) ・ハナイソギク?(雑種の可能性)(キク科) ・ツワブキ(キク科) ・キク科sp(ハマコンギク?) 

書いているうちに日付を跨いでしまいました。明けましておめでとうございます。 今年は植生関係の研究室で研究をする、ということで、本腰を入れて植物を学んでいきたいと思います。


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