2016年6月22日水曜日

ブラジル旅行&学会 Serra do Mar State Parkの大西洋岸森林(The Atlantic Forest) その②

6月10日
Serra do Mar State Parkの原生(的)森林。高木層は20~30mくらい、大量の着生植物に目を奪われる。
高木層を形成する樹木はクスノキ科やアカテツ科などが多いとの説明だったが、初見の僕にはどの木がどの種なのかはよく分からなかった。

Chrysophyllum viride (Sapotaceae アカテツ科)

観察した森林の中では特に樹高の高かった樹種。
樹高は目測で40m前後。

Ilex paraguariensis (Aquifoliaceae モチノキ科)

亜高木。日本のモチノキ等と同属。
アルゼンチン等で飲用されるマテ茶の原料である。

Chusquea sp. ? (Poaceae イネ科)

林縁ようなやや明るい場所にはタケの仲間が多く生えていた。
左写真のものは半つる性。

着生植物の主なものはブロメリア科、ラン科、サトイモ科、シダ類。

写真はVriesea sp. (Bromeliaceae ブロメリア科)。

Vriesea carinata ? (Bromeliaceae ブロメリア科)

日本で「インコアナナス」と呼ばれるV. carinataによく似ており、恐らく本種だろうと判定。

Pleurotalis sp. ? (Orchidaceae ラン科)


小型のランで、花のサイズは5mmくらい。今は異なる属に移行されているかも、との説明。

Orchidaceae sp. (Orchidaceae ラン科)

葉が棒状のラン。属名は分からず。

Nematanthus sp. (Gesneriaceae イワタバコ科)

つる性の着生植物。

Araceae sp. (Araceae サトイモ科)

Hymenophyllaceae sp. ? (Himenophyllaceae コケシノブ科?)とAsplenium sp. ? (Aspleniaceae チャセンシダ科?)

2種ともに小型のシダ。

Lycopodium sp. ? (Licopodiaceae ヒカゲノカズラ科)

日本のスギランなどによく似た種。

林床。

ブロメリア科の草本が優占していることが多かった。

Bromeliaceae sp. (Bromeliaceae ブロメリア科)

Begonia sp. (Begoniaceae シュウカイドウ科)













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2016年6月20日月曜日

ブラジル旅行&学会 Serra do Mar State Parkの大西洋岸森林(The Atlantic Forest) その①

6月10日

エクスカーション最終日の10日は、サンパウロ州の州立公園「Serra do Mar State Park」を訪れた。この公園の面積は約3,000平方キロあり、大西洋岸森林の保護区中で最大である。

公園内では毒蛇が出没するとのことで、足にプロテクターを巻きつけて歩いた。

遊歩道沿いはしばらく二次林が続く。

写真はおそらくMiconia brunnea (Melastomataceae ノボタン科)。

亜高木。葉裏が黄褐色の毛で覆われるのが特徴的。二次林に多く見られた。

Melastomataceae sp. (Melastomataceae ノボタン科)

低木。咲き始めの花色は薄桃色、終盤になると色が濃く変化するようだ。
Psychotria sp. (Rubiaceae アカネ科)

日本には同属のボチョウジ等が分布する。

Rubiaceae (Rubiaceae アカネ科)

アカネ科の低木。属名は確認中。

Inga sp. (Fabaceae マメ科)

亜高木。種子の周りの皮(この部分の正式名称が分からない)が多汁で可食。さわやかな甘さがある。

Ilex buxifolia ? (Aquifoliaceae モチノキ科)

亜高木。日本のモチノキなどと同科同属。

Prunus myrtifolia (Rosaceae バラ科)

亜高木~高木。サクラなどと同属。南米にもサクラの仲間が生えているとは思わなかった。
バクチノキやリンボクにやや似ている。

Fuchsia sp. (Onagraceae アカバナ科)

低木。本属は日本でも「フクシア」の名で広く栽培される。

Cyathea phalerata ? (Cyatheaceae ヘゴ科)

低木~亜高木。
観察地周辺にはCyathea(ヘゴ属)の他に、2属の木生シダが分布するらしいが、それらを認識することはできなかった。
着生植物も多く見られた。

写真はOncidium sp. (Orchidaceae ラン科)

Phymatidium sp. (Orchidaceae ラン科)

日本のヨウラクランに似た姿の小型ラン。

Orchidaceae sp.  (Orchidaceae ラン科)

これも小型のラン。属名は分からず。

歩道沿いにはイネ科やカヤツリグサ科を始めとする草本が多く見られた。

写真はScleria sp. (Cyperaceae カヤツリグサ科)

Scleria(シンジュガヤ属)の一種。

Scleria sp. 2 (Cyperaceae カヤツリグサ科)

上とは別種のシンジュガヤの一種。果実は白色が大きく、日陰でもよく目立っていた。

Pennisetum sp. (Poaceae イネ科)

日本のチカラシバと同属で、よく似た姿をしている。

Scirpus sp. (Cyperaceae カヤツリグサ科)

湿地に生えていた。日本のフトイなどと同属。

Eleocharis sp. (Cyperaceae カヤツリグサ科)

南米はEleocharis(ハリイ属)が多様な地域らしい。

Sphagnum sp.

水のしみ出す場所では、ミズゴケの仲間も生えていた。









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2016年6月19日日曜日

パラナマツ(Araucaria angustifolia)

6月9日

サンパウロ州のCunha近くの土産物屋にて。

「PINHAO」と書かれた木の実が売られていた。
ナンヨウスギ科のAraucaria angustifoliaの種子とのこと。

本種は日本ではパラナマツの名で呼ばれている。「マツ」、と名は付くが、日本で見られるマツ(マツ科の樹木)とは縁が遠い。

店内には球果(まつぼっくり)も飾られていた。パラナマツの球果は崩れやすく、地面にそのままの形で落ちることはないらしい。

パラナマツの種子は食用になる。調理方法としてはゆでるのが一般的とのこと。

僕も、茹でたものをいくつか食べてみた。
栗を淡泊にしたような味で、松の実(チョウセンゴヨウなどの種子)の味とはあまり似ていない。食感は銀杏に少し似ていると思う。くせがないので何個でも食べられる。

翌10日。

自生地を訪れた(Serra do Mar State Park)。

パラナマツの成木の樹形は非常に特徴的で、遠くからでもすぐにそれと分かる。

夕方になると自生地には霧が立ちこめ、幻想的な風景になった。

高い湿度を反映してか、パラナマツの幹にはブロメリア科やラン科といった着生植物が多く着いていた。


パラナマツの栽培経過を別ブログ(園芸の記録)で紹介しています。







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2016年6月15日水曜日

ブラジル旅行&学会 Pedra da Macelaの二次林

6月9日

Pedra da Macela山頂からの景色
サンパウロ州のCunha近郊に位置するPedra da Macela(海抜1840m)という山に登った。

Pedra da~は直訳すればおそらく「石の~」という意味になる。岩山(岩峰)に対してこの呼び名が付くらしい。



山腹には二次林が広がる。
エクスカーション主催者の話では、これらの林は伐採から50年程度を経たものだとのこと。

Croton sp. (Euphorbiaceae トウダイグサ科)

二次林の主要構成種のひとつ。


Mimosa sp. (Fabaceae マメ科)

茎や豆果がトゲだらけ。オジギソウと同属であり、葉を触るとゆっくりながら動いた。

Miconia sp. (Melastomataceae ノボタン科)


Melastomataceae sp. (Melastomatacaee ノボタン科)

今エクスカーションで訪れた場所では、ノボタン科の樹木や草本を非常に多く見かけた。


Melastomataceae sp. (Melastomataceae ノボタン科)

ノボタン科の一種。上のものとは別種。

Mikania sp. (Asteraceae キク科)

キク科のつる性木本。

Asteraceae sp. (Asteraceae キク科)

キク科の低木。属名は分からず。
観察地ではこの種を含め、5種類くらいのキク科低木~亜高木を確認した。

Santalaceae sp. ? (Santalaceae ビャクダン科?)

キク科木本に寄生していた。

Achyrocline satureioides (Asteraceae キク科)

日本のハハコグサを巨大化させたような草本。ハハコグサとは属が異なるようだ。

Cissus sp. (Vitaceae ブドウ科)

Roupala montana (Proteaceae ヤマモガシ科)

コンビーフのような香りを持つ木本。

Rubus sp. (Rosaceae バラ科)

キイチゴの一種。実を食べてみたが、わずかに甘いだけで美味しくなかった。
Fragaria sp. (Rosaceae バラ科)

オランダイチゴ属、いわゆるイチゴと同属。


Galium sp. ? (Rubiaceae アカネ科)

果実はヤエムグラの実を白く、多汁にしたような姿。
ヤエムグラと同じGalium(ヤエムグラ属)に属するとの説明を受けた。

Coccocypselum sp. (Rubiaceae アカネ科)

青紫色の実を付けていた。
中南米に特有の属とのこと。

Buchnera sp. (Orobancheaceae ハマウツボ科)

半寄生植物とのこと。
赤く見えるものは花ではなく、葉(苞葉?)。


Vreasea sp. (Bromeliaceae ブロメリア科)

地生種。
Pedra da Macelaは標高が高く気温が低いためか、ブロメリア科をはじめ、着生の維管束植物は非常に少なかった。

Habenaria sp. (Orchidaceae ラン科)

湿地状の場所にまとまって生えていた。

Habenaria(ミズトンボ属)の植物は、日本にも複数種が生えている。ラン科の属の中では、きわだって広い分布範囲を持っていると思う。

Zygopetalum sp. (Orchidaceae ラン科)

Dicranopteris sp. (Gleicheniaceae ウラジロ科)

日本に生育するコシダとよく似たシダ。
2年前に訪れたオーストラリアでも、やはりコシダの仲間をよく見かけた。



Lycopodium sp. (Lycopodiaceae ヒカゲノカズラ科)

日本のヒカゲノカズラによく似た種。
湿り気のある斜面に群生していた。

ヒカゲノカズラ科の草本は、本種の他にも2種を見かけた。

午後になると霧が出てきた。この場所はいわゆる「雲霧帯」にあたるようだ。

空気中の湿度が常に高いことを反映してか、樹木には地衣類や蘚苔類がびっしりと着生していた。ただし、前述のとおり維管束植物の着生種は少なかった。

最後に。

山頂で見かけた鳥。










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