2011年9月19日月曜日

「田んぼの生き物たち」その3 オモダカ

オモダカはオモダカ科の多年生草本。水田雑草の代表的なものである。もちろん地域によるだろうが、恐らく水田においてよく見られる植物のトップ3に入るのではないかと思う。

このオモダカ、実は正月などに食べられる慈姑(クワイ)の原種とされている。僕はオモダカの塊茎の実物を見たことがないが、図鑑に載っている写真を見ると、確かに慈姑と同じ形をしていた。
他にも水田における重要な雑草のひとつのイヌビエは、雑穀のひとつ、稗(ヒエ)の原種であるとされている。水田の雑草たちはイネの成長を妨げる厄介者であると同時に、ヒトの食料としての役割も果たしてきたというわけである。(ただしイヌビエにはいくつかの種類があり、水田に生える種が作物のヒエになったのかは、僕には分からない)

ケイヌビエ
ちょっと話はそれるが、麦の一種のライ麦やエン麦は、元々麦畑の雑草だったそうだ。これらは田畑の雑草から作物へと昇格したのである。雑草は作物の成長を阻害するが、一方でそれ自体に有用性を持っている可能性がある。雑草をただの邪魔者としてでなく、多面的な面から見るのも面白いのではないかと思う。

話をオモダカに戻す。オモダカは水田の重要な雑草であったと同時に、可憐な花や矢じり型の独特な葉っぱが人々に親しまれてきたらしい。その最たる例が家紋であると思う。沢瀉(オモダカ)は、日本十大紋とされるほど広く用いられているそうだ。ちなみに我が家の家紋はオモダカの葉っぱ2枚が花を包み込んだ形の「抱き沢瀉(オモダカ)」である。(オモダカが家紋に使われる理由については、「家紋の湊などを参考にしていただくとよいでしょう。)

増えすぎては困るが、いなくなっても悲しい。そんな植物だと思う。もっとも、多くの農家の方々は除草剤などでせん滅したいと思っているのかもしれないが。

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