4月3日 近所のコンビニの駐車場に1本のエノコログサの仲間を見つけた。驚いたことに根元は枯れずに新しい花穂を付けていた。
周りを見てみたが、枯れずに緑を保っていたのはこの1株だけだった。
拡大した写真。
種判別をしてみる。
穂のぱっと見はエノコログサSetaria viridis のように見えたが、小穂(左写真の一粒一粒)の第2包頴(真ん中の小穂の左側についているもの)が短いことからアキノエノコログサSetaria faberi と思われる。ちょっと自信が持てないが、ここではアキノエノコログサとしたい。
ちなみにエノコログサはこの第2包頴が小穂と同じくらい長いらしい。
それにしても、なぜこのアキノエノコログサは冬を越したのだろうか。
アキノエノコログサは手持ちの図鑑を見る限り全て「1年草」と定義されていた。 (ひとつだけ、日本の野生植物 平凡社 1983年初版第9刷には1年草・多年草のどちらも記述がなかった)ただ、インターネットで検索してみるといくつか「多年草」と記述されたページがあるので必ずしも1年草とは断定はできない。(多年草、というのはどこに元の情報があるのだろう?)
実際のところ、一年草と多年草の境界はあいまいなことも多い。例えば、野菜のナスは冬の寒さに耐えられないために日本では1年草の扱いになるが、温暖な場所では多年生になる。もし、アキノエノコロにも多年草になる能力があるとすれば、今回見つけたものはたまたま寒さから逃れて冬越しできたものである、ということだろうか。
もうひとつ、観察していて気になったのが採取したものの全てがしいな(実が育っていない)だったこと。単に寒さの影響で果実が熟さなかったのかもしれないが、もしかしてそもそも受精などがうまくいかず果実のならない株の可能性があるのではないかとも思った。
これは全く根拠のない考えだが、健全な果実ができないと果実を熟させるのにエネルギー投資が行えず、通常の株と異なっていつまでも新しい花や葉を作る、つまり株の成長にエネルギーが使われ、その結果枯れずに冬を越したのではないだろうか。 今回見つけた株はコンクリの塀のわきに生えていた。多少寒さから守られていたかもしれないが、似たような環境は他にも普通にあるように思われた。よって、今回の株だけが越冬したのは立地だけでなくその株の状態も考慮しないとうまく説明できないと思う。
今後、この株がどのように成長していくのか、夏に咲いた花はちゃんと実になるのか、またしいなになってしまうのか。再び観察してみたいと思う。(刈られなければいいが・・・)
参考
・イネ科ハンドブック 文一総合出版 木場英久・茨木靖・勝山輝男 著 (2012年6月10日初版第2刷)
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