インターネットで検索していたところ奥多摩でイワウチワという花が見られると知った。花期にはまだ間に合いそう、ということで早速行くことにした。
多摩川 |
スギ林の中を沢沿いに進む。少し尾根っぽくなっている所にはスギに交じってカラマツも見られた。かつて植林したのだろうか。
途中に咲いていたのはレンプクソウAdoxa moschatellina。
他にヒトリシズカやヒトツバテンナンショウなどを観察しながら次第に標高を上げていき、尾根上の神社に着いた。
神社の周りを散策。ツガ、モミ、ヒノキ、アセビなどいかにも尾根らしい樹種が見られた。
斜面の下の方にイワウチワが開花しているのが見えたが、かなりの急斜面だったため残念ながら近くに行くことはできなかった。
神社の周りではヒカゲツツジRhododendron keiskei が開花していた。見たかった花のひとつである。
さらに先を進んだところでイワウチワ自生地に到着。既に盛りは過ぎていたようだが、何か所かで見ることができた。感動である。
イワウチワShortia unifloraはイワウメ科の多年生草本。漢字では岩団扇と書く。葉が団扇のような形をしている、というのが由来らしい。
多年生草本、とは書いたが、観察した感じでは根元は細いながら木化していたので低木とした方が良いのかもしれない。
アケボノスミレViola rossii。
葉が展開する前に花を咲かせるようである。
カタクリErythronium japonicum。
カタクリを見つけた頃から雲が広がり始めた。そのためかほとんどのカタクリは花を閉じかけていたが、一部はしっかりと開いていてくれた。
エンレイソウTrillium apetalon。湿り気のある場所でハシリドコロ、ヨゴレネコノメなどとともに多く見られた。
ところで日本の山地で見られる植物は北半球に同じ仲間が広く分布していることが多い。例えば、今回観察したエンレイソウやカタクリの仲間は北米大陸で種分化を起こして多様な種が見られるそうだ。機会があれば実際に行ってみたいものだ。
今回観察した植物。(科は新エングラー体系)
ヒノキ科 ・ヒノキ
マツ科 ・アカマツ ・モミ ・ツガ
クルミ科 ・オニグルミ
ヤナギ科 ・ネコヤナギ ・バッコヤナギ?
カバノキ科 ・ヤシャブシ?
ブナ科 ・イヌブナ ・コナラ ・ミズナラ ・アラカシ ・シラカシ ・ウラジロガシ ・ツクバネガシ
イラクサ科 ・ウワバミソウ ・カテンソウ
ヤドリギ科 ・マツグミ
シキミ科 ・シキミ
クスノキ科 ・シロダモ ・クロモジ ・アブラチャン
フサザクラ科 ・フサザクラ
キンポウゲ科 ・ヤマトリカブト(葉) ・ニリンソウ ・アズマイチゲ ・セリバヒエンソウ ・ハンショウヅル(葉) ・サラシナショウマかレンゲショウマなどと思われる新芽もあった。
メギ科 ・メギ
アケビ科 ・アケビ
センリョウ科 ・ヒトリシズカ
ウマノスズクサ科 ・(カントウ)カンアオイ
ツバキ科 ・ヒサカキ
ケシ科 ・ミヤマキケマン ・ジロボウエンゴサク ・ヤマエンゴサク ・ムラサキケマン ・クサノオウ
アブラナ科 ・ミツバコンロンソウ ・ヒロハコンロンソウ ・コンロンソウ ・オランダガラシ ・オオバタネツケバナ ・ユリワサビ ・ワサビ
ベンケイソウ科 ・ヒメレンゲ?
ユキノシタ科 ・ハナネコノメ ・ヨゴレネコノメ ・ツルネコノメソウ? ・ウツギ
バラ科 ・ユキヤナギ
ミカン科 ・ミヤマシキミ
カエデ科 ・ウリカエデ(花)
モチノキ科 ・イヌツゲ ・ソヨゴ
スミレ科 ・タチツボスミレ ・エイザンスミレ ・ナガバノスミレサイシン ・アケボノスミレ ・マルバスミレ ・ウモトスミレ ・アメリカスミレサイシン
キブシ科 ・キブシ
ウコギ科 ・タカノツメ
イワウメ科 ・イワウチワ
リョウブ科 ・リョウブ
イチヤクソウ科 ・イチヤクソウ?
ツツジ科 ・ヒカゲツツジ ・ミツバツツジ? ・アセビ
ムラサキ科 ・ハナイバナ ・キュウリグサ
シソ科 ・キランソウ ・ホトケノザ ・キバナオドリコソウ ・ヒメオドリコソウ ・カキドオシ
ナス科 ・ハシリドコロ
イワタバコ科 ・イワタバコ
スイカズラ科 ・ニワトコ ・オトコヨウゾメ
レンプクソウ科 ・レンプクソウ
キク科 ・スズメノヤリ ・オオジシバリ ・ハルジオン ・モミジガサ ・その他にタカオヒゴタイ?やハグマ系の新芽が見られた。
ラン科 ・シュンラン ・ミヤマウズラ(葉のみ)
ユリ科 ・エンレイソウ ・シロバナエンレイソウ(ミヤマエンレイソウ) ・カタクリ ・ヒメニラ ・ヤブラン? ・ウバユリ
サトイモ科・ヒトツバテンナンショウ ・マムシグサ?
イグサ科 ・スズメノヤリ
カヤツリグサ科 ・タガネソウ ・ナルコスゲ ・カンスゲ ・他にも少なくとも3、4種は開花していたが種類は分からず。
コケ・シダ植物など ・ジャゴケ ・タマゴケ? ・コウヤノマンネングサ ・コケシノブ ・ヤブソテツsp
そういえば最近、山と渓谷社からAPG分類体系が用いられた植物図鑑が出たそうだ。今までの図鑑は形態に基づく新エングラー分類体系なのに対してAPGはDNAに基づく分類体系であり、より植物の種ごとの類縁関係を正確に表しているといえる。しかし僕を含めて新エングラーに馴染んでいる人が圧倒的で、今までの資料の多くも新エングラーに従ってきたのも事実。しばらくは混乱が起きそうだ。
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