鎌倉のとあるお寺にて。他の方々が仏閣や見頃のボタンを見ている中、一人ビャクシンを見上げる。
カヤランThrixspermum japonicumが開花していた。
着生ランとしては普通種であるそうだが、実際に見たのは今回が初めてだった。
こちらはムギランBulbophyllum inconspicuum。
幹や枝に相当量が着生していて、今にも枝から落ちそうなほどだった。
花期は6月頃だそうで、種を飛ばした後の果実だけが残っていた。
神奈川県植物誌2001によれば、両種とも県内での分布は限られているようだ。特にムギランは極端に産地が限られており、県のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されている。
寺の背後に山があるから、生育に適した湿度が保たれたりしているのかもしれないが、門を出れば交通量がそれなりにある道路である。今回見た限りではそこまで特殊な環境だとは思えず、逆になぜ他の場所では見られないのか、不思議である。それとも既に周囲の環境は着生ランの生育には不適であり、昔から着生していたものが木とともに残存しているだけなのだろうか。(目立つ種ではないからエビネやカンランのように乱獲で減ったとは考えにくいだろう)
鎌倉の寺社は歴史的建造物として非常に価値のあるものだが、それと並んで多くの植物たちの住処としての価値も大きいように思う。周囲が開発などで生育に不適な環境に変化していく中、まさに駆け込み寺として機能していると言えるかもしれない。 将来的には再び分布を広げてほしいものだ。
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