2011年10月28日金曜日

「西表・石垣の生き物」 ニッパヤシ Nypa fruticans

注:これは帰りの写真です
エコツアーを行う村田自然塾のひげさんこと村田行さんの案内で、船浦湾にそそぐヤシ川を上流へとのぼった。この日は北風が強く海はかなり荒れていたが、マングローブ林に囲まれるヤシ川はそれがうそのように静かで、樹冠を揺らす風の音がざわざわと聞こえるだけであった。ひげさんの話によれば、地元では台風の際に船をマングローブ林内に避難させるのだそうだ。なるほど、である。

オレンジ色のものは花
密生したマングローブをかき分けるようにカヌーで進み、ようやく国の天然記念物に指定されているニッパヤシ群落についた。
ニッパヤシはマングローブ湿地に生えるという特異な生態を持った一属一種のヤシである。普通のヤシに見られるような幹は持たず、泥から出ているのは葉っぱだけである。日本では西表島の内離島と、ここ船浦の2か所にだけに自生し、特に船浦の群落は自生の北限地として天然記念物に指定されている。なお、海外から流れてきたとみられる果実は海岸に数多く漂着する。

オヒルギなどのマングローブが生い茂る林内において、ニッパヤシの周りだけは木が見られず明るかった。これは、衰弱傾向にあったニッパヤシに日光が当たるようにと、人為的にオヒルギなどを伐採したためだそうだ。はじめて来た僕にはいたって元気なように見えたが、ひげさん曰く背丈が以前の半分程度になってしまったのだそうだ。群落がこれからも存続し続けるのか、それとも無くなってしまうのか。僕には全く分からないが、最北の群落としてこれからも残り続けてほしいものである。
漂着した果実







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