葉の付け根のモサモサが花である。 |
トキホコリはイラクサ科の一年生草本。全長は学校に生育するもので5~10センチといったところで非常に小型である。(図鑑には最大20センチとある)
「トキ」が時々、「ホコリ」がはびこるとか茂るという意味だそうだ。名前からすれば、繁殖力はそれなりにあることが想定される。
かつては湿り気の多い場所で普通に見られたそうだが、今ではレッドデータで絶滅危惧Ⅱ類に指定されるほどの希少種である。ちなみに大学がある東京都では最も高いランクの絶滅危惧Ⅰ類となっている。
小さいうえに一年草のトキホコリ。日向では乾燥に耐えられないだろうし、日陰でも草刈りなどの人の管理が加わらない限り、ドクダミやアマチャヅルなどの多年草に場所を奪われてしまうだろう。逆に草を根こそぎ取るような過度な草刈りも、地中に地下茎などを持たないトキホコリにとっては好ましくないだろう。減少理由はよく分からないが、宅地化による乾燥化や、人の管理方法の変化が影響しているのかもしれない。
(ここからは完全な推論です・・)トキホコリの本来の自生地は、恐らく洪水のたびに植生が破壊され、また常に湿り気のある土質の川べりなのではないか、と思う。洪水で裸地になったところにいち早く進出し、多年草が進出する前に世代交代を行い、また新天地へと進出していく。こんな生態を持っていたのでは、と推測する。もっとも、上流のダム建設で洪水が起こりにくくなったり、護岸工事が行われてしまった現代の川もまた、トキホコリには厳しい環境になってしまった、とは思うが。
はっきり言ってあまり目立たないトキホコリ。学内に自生しているという話を聞いていなかったら、その存在に全く気付かなかったと思う。しかし貴重な種であることには違いないし、これからも大切にしていきたい種である。
(※農工大のトキホコリ自生地)
正門を入って正面の突きあたりに本館があります。そのわきに「絶滅危惧種 トキホコリ自生地」の看板があります。夏から秋にかけて看板の奥の地面を探せば、この小さな絶滅危惧種に会うことができるでしょう。
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