海外から偶発的に入っていくる蝶を迷蝶と呼ぶ。以前紹介したクロマダラソテツシジミもこの一つとされている。
今回、西表島で特に見られた迷蝶がヤエヤマムラサキであった。名前に八重山、とあるが、西表島をはじめとする八重山諸島には未だに定着はしていないそうだ。
多くの蝶はオスが鮮やかな翅を持つが、本種はメスが紫に輝く翅を持ち、オスはもっと地味な色である。
写真は交尾中の本種であるが、昆虫なら普通6本ある足が4本しかないのが分かるだろうか。
実は、ヤエヤマムラサキの属するタテハチョウの仲間は前足が退化していて足が4本に見えるのだ。ただし、前足は消えたわけでなくてしっかりと残っている。wikipediaなどの記述を参考にすると、感覚器官として役立っているそうだ。
本種の幼虫の食草はオオイワガネ(イラクサ科)という樹木。沖縄ではあちらこちらに生育する植物らしい。泊まった宿で出会った蝶屋の方にポイントを教えていただき、この植物につくヤエヤマムラサキの幼虫を見ることができた。
食草があるのに定着できないというのは不思議である。冬の低温に問題があるのだろうか。冬を越した例もあるようだし、簡単に決めつけることはできないと思うが。
2013年12月 追記
先日購入した「フィールドガイド 日本のチョウ 日本蝶類保全協会 編 誠文堂新光社(2012年4月30日 発行、8月20日 第2刷)」によれば、継続発生が見られるもの、全く見られない年もあることから完全に定着しているとは言えないそうだ。
冬期の気温は年によって異なるから、現状では暖冬の年に限って越年が可能ということなのだろう。
地球温暖化が騒がれているにも関わらず、日本の冬はいつも通り(ここ数年はいつも以上に?)寒い。いくら地球全体の平均気温が高くなっているとしても、厳しい冬の寒さがある限り南方系のチョウの北上は容易ではないと思う。
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