2011年11月16日水曜日

「西表・石垣の生き物」 セマルハコガメ Cuora flavomarginata

西表島、南風見田の浜のほど近くの道の側溝にセマルハコガメがいた。垂直な側溝の壁はカメにはとても登れそうにない。ということで出してあげることにした。
箱になりました

セマルハコガメは絶滅危惧Ⅱ類、国の天然記念物に指定されている。名前の由来は、危険を感じると甲羅の中に手足をすべてしまい、箱のようになってしまうことから。
日本では西表島と石垣島に分布し、日本のものはヤエヤマセマルハコガメという亜種とされている。
側溝は、小さな野生動物にとって脅威だ。特に壁が垂直の場合、よじ登ることができずに死亡することも多い。
西表島では、野生動物が元に戻れるようにと側溝の壁に傾斜がつけられているものが多かった。しかし、セマルハコガメのいた辺りではそのような配慮がなされていないように見えた。(もしかすると何かしらの配慮が行われていたかもしれないが)

ひとしきり観察したあと、ハコガメを側溝より内陸側の茂みに放した。彼(彼女?)はゆっくりと奥へ消えていった。また側溝に落ちないことを祈るばかりであった。

西表島は豊かな自然に恵まれた島である。一方で人々の暮らしが必ずしも自然に配慮したものではないと感じた。特に感じたのが高速で走る自動車の存在であった。
島内の道路は時速30キロ制限となっている。しかしそれを大きく超える速度で走っている車が多かった。それらの車が島民の運転するものなのか、島外の人が運転するレンタカーなのかは分からないが。
最近行われた道の拡幅により高速化が進んだのだろうか、イリオモテヤマネコの交通事故件数はここのところ増加しているという。恐らくハコガメなども同じような状況にあるのだろう。島内の道は集落の周辺以外は森やサトウキビ畑しかなく、スピードを出したい気持ちは何となく分かる。しかし、貴重な生物が住んでいるのを知りながら速度違反を行うことは、僕には全くもって理解できないことである。
様々な生き物と出会えて楽しかった旅であったと同時に、人と自然の共生の難しさを改めて考えさせられる旅でもあった。


今回で記事数は50となりました。
これで、ひとまず「西表・石垣の生き物」については終わりにします。冬にネタがなくなったら再び取り上げるかもしれません。

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