玄関脇のスダジイにオオワラジカイガラムシDrosicha corpulentaが発生していた。
毎年、初夏になると我が家のスダジイではこの虫が姿を現す。僕が幼い頃は、樹上から落ちたカイガラムシで空き缶が一杯になる年もあったが、ここ最近はそのようなことはなく、少数が安定して現れているように思う。
地面に落ちた個体。
体長は1cmを超え、カイガラムシとしては日本最大の種という。メス成体は枝などに貼りついて動かないのが一般的なカイガラムシの仲間において、本種は脚を失わず歩くことができる。
メスは歩いて移動はできるが翅はないため、木々の間を移動することは難しい。対してオスは翅を持ち、自由に飛び回る。
幼い幼虫の分散能力がどの程度のものかは分からないが、恐らく本種が分布を広げるためには木々がまとまって生えていることが条件ではないかと思う。
我が家のスダジイは、かつて我が家の土地を含む大きな敷地を持っていた邸宅に並木状に植わっていたものの1つである。父が子供の頃は沢山あったらしいが、今では我が家と隣の家に2本が残っているにすぎない。オオワラジカイガラムシはその頃からの生き残りなのだろう。
シイの木の害虫として扱われて一度でも薬が散布されていたら、僕がこうやって観察できることもなかったかもしれない。祖父母の管理に感謝しながら、来年も発生することを楽しみとする。
<参考>
・フィールド図鑑 昆虫, 矢島 稔・佐藤有恒 著, 東海大学出版会 1984年8月10日 初版第1刷発行,
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