兵庫県。
4月11日の記事(リンク)と同じ場所で植物を観察。
1カ月半の間に、開花している植物が随分と入れ替わった。
クサヨシPhalaris arundinacea
川沿いの低水敷(水際)で最も目立っていた。
セイヨウヒキヨモギBellardia viscosa。
高水敷(洪水時を除いて水を被らない場所)でムラサキツメクサ、シロツメクサといったクローバー類と共に目立っていた。
ヨーロッパ原産の帰化種で半寄生植物であるというが、ちょっと掘っただけではどの植物に寄生しているかは分からず。前回の観察でシロネの仲間かな、と思っていた葉はほとんどが本種だった。
関東に住んでいる時には見かけたことのない植物だったが、先日訪れた淀川沿いにも見られたし、近畿などでは案外普通なのだろうか。
一方、関東の川沿いなどでよく見かけたのはヤセウツボOrobanche minor である。こちらは自ら光合成を行わない完全な寄生植物で、やはりヨーロッパ原産の帰化植物。
武庫川沿いの観察地ではこの1本しか見当たらなかった。
今まで一般的に用いられてきた新エングラー体系では、セイヨウヒキヨモギはゴマノハグサ科、ヤセウツボはハマウツボ科に分類されていた。しかし、DNAの分析によるAPG分類体系ではセイヨウヒキヨモギを始めとするゴマノハグサ科の一部はハマウツボ科に統合されている。
APG分類体系においてゴマノハグサ科は、他にもオオイヌノフグリなどがオオバコ科に統合されるなど相当に分割された。新エングラー体系に慣れていた身としては少々混乱してしまうが、寄生植物から構成されるハマウツボ科に統合されたゴマノハグサ科の植物たちの多くが半寄生性であり、また花の形態などにも類縁を感じ、なるほどと思っている。
チゴフウロGeranium pusillum?。
フウロソウの仲間の帰化植物でよく見られるのはアメリカフウロだが、これは初めて見た。
チゴフウロとすれば、ヨーロッパ原産の帰化植物。「日本の帰化植物 平凡社 2003年」によれば埼玉・東京・神奈川・三重・和歌山・愛媛の記録があるようだ。分布を拡大している種なのだろうか。
葉。
泥だらけで特徴がよく分からず。水を持ってきて洗って観察したかった。
他に少し似たものとして同じく帰化種のピレネーフウロやヤワラフウロがあるらしい。
他に見つけたものをいくつか。
コウガイゼキショウJuncus prismatocarpus subsp. leschenaultii 。
ヌカボAgrostis clavata var. nukabo。
恐らく。
植物以外もひとつ。
イソヒヨドリのメス。
海岸近くでよく見かける鳥だが、内陸で対面するとは意外。
開花・結実していた植物種。手元にAPGで書かれた図鑑がないので新エングラー体系で。
イネ科 ハルガヤ※、ヒメコバンソウ※、カモジグサ、アオカモジグサ、ヒゲナガスズメノチャヒキ※、オニウシノケグサ※、イチゴツナギ属2~3種(未同定)、クサヨシ、ヌカボ、スズメノチャヒキ、ヒエガエリ、カズノコグサ、チガヤ、ナギナタガヤ※、ハナヌカススキ※、シバ
カヤツリグサ科 アゼナルコ、アオスゲ、アゼスゲ、メリケンガヤツリ?※
イグサ科 イ、コウガイゼキショウ、ハリコウガイゼキショウ?
ユリ科 ノビル
アヤメ科 ニワゼキショウ※(アイニワゼキショウなど複数含まれる可能性有)
キク科 ブタナ※、ニガナ、ハルジオン※、ヒメジョオン※、キツネアザミ、ノゲシ
キキョウ科 ヒナキキョウソウ※
オオバコ科 ツボミオオバコ※、ヘラオオバコ※
ハマウツボ科 ヤセウツボ※
ゴマノハグサ科 セイヨウヒキヨモギ※、オオカワヂシャ※、タチイヌノフグリ※、オオイヌノフグリ※、ムラサキサギゴケ
セリ科 オヤブジラミ
アカバナ科 ユウゲショウ※、コマツヨイグサ※
カタバミ科 オッタチカタバミ※
フウロソウ科 アメリカフウロ※、チゴフウロ?※
マメ科 クスダマツメクサ※、コメツブツメクサ※、シロツメクサ※、ムラサキツメクサ※、ヤハズエンドウ(カラスノエンドウ)、カスマグサ
バラ科 オヘビイチゴ
ベンケイソウ科 ツルマンネングサ※
アブラナ科 スカシタゴボウ、オランダガラシ※
キンポウゲ科 ケキツネノボタン
ナデシコ科 シロバナマンテマ※、イヌコモチナデシコ※、ウシハコベ
タデ科 スイバ、ギシギシ
ドクダミ科 ドクダミ
計64~5種 帰化種32種以上(※のついた種)
<参考>
・日本の帰化植物, 清水建美 編, 平凡社, 2003年3月25日 初版第1刷発行
・BG Plants http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/index.html(2014年5月24日現在)
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