2012年1月1日日曜日

西表島・石垣島旅行記 4日目

2012年、明けましておめでとうございます。
ブログの記事はしばらくは相変わらず旅行記です。

10月18日
~宿の近辺で生き物観察とビーチコーミング~

7時30分起床。
カンピラ荘では7時30分に朝食のお知らせの放送が部屋を含めて全館に流れるので、それに起こされたというわけである。

イシガキゴマフカミキリ
食事後、自転車で琉球大学の研究所がある道に行き、生き物観察を行った。ちなみに、この道をまっすぐ進めば、前日行ったカヌー船着き場へ到着する。

ヒカゲヘゴの幹につくイワサキゼミ
道の途中にどこかのツアー会社の物置き場?を発見した。物置き場、といってもシャッターがあり、車を止めるスペースがある大きな施設で、他にも使用されているのかもしれないが、僕には分からなかった。

ヤエノコ♂の死骸
施設にはいくつかの照明設備があった。その近辺を見ると、たくさんのクワガタの死骸を発見。生きているサキシマヒラタクワガタとヤエヤマノコギリのそれぞれメス一匹もいた。







ヤエノコ♀2匹(前日捕まえた個体も撮影)











10時半ごろ宿に帰宅。宿のヘルパーさんとお話。僕はモダマをどこで手に入れることができるかを質問した。ちなみに今回の旅の目的のひとつが、モダマという豆を手に入れることだった。モダマは根元直径が30センチにもなるつる植物で、豆のサヤの大きさは最大で1メートルを超える巨大なマメ科植物である。ヘルパーさん曰く、数年前の台風でモダマが大きな被害を受けたこと、根こそぎサヤを採っていく人がいることなどからだいぶ数が減ってしまったという。西表島の地図を指さしながら、ここならあるかもしれない、と何か所か教えていただいた。しかし、どの場所も恐らく長そで長ズボン、長靴が必要な場所で、しかもサヤが今年も成っているかは分からないということだった。僕は長靴は持っておらず、そのような場所に行くのには不安があったこと、現在減少しているモダマを自生地まで行ってサヤを取るのはためらわれたことなどからサヤを取りに行くのはあきらめた。

いただいたモダマ。
と、話を聞いていた宿のご主人が、「ちょうど部屋に数年前に手に入れたモダマがあるからあげようか?」と僕におっしゃった。宿の方の持ち物をもらうなんて…、とは思ったが、とても欲しかったものだし、ありがたくいただくことにした。(いただいたモダマは大学の学園祭の展示に使ったり、家の玄関の飾りにしている。カンピラ荘のご主人には本当に感謝しています)
モダマをいただいたが、自分でも見つけてみたい。そう思った僕は、モダマが自生する川の河口の浜で、流れ着いたモダマの豆を探すことにした。地面に落下したモダマのサヤはバラバラに壊れ、川の流れに乗って海までたどり着き、海岸に打ち上がるのである。

ちなみにモダマは海流散布という繁殖を行う。川から海にたどり着いた豆は海水に浮かび、海流に乗って遠くへと運ばれる。流れた先で陸地の生育に適した湿った場所に打ち上げられると、そこで成長するのである。そのため、モダマの仲間(与那国島、西表島~沖縄本島に分布するのはコウシュンモダマという種類)は熱帯・亜熱帯の河川が存在する島々に広く分布する。これはココヤシとかハマユウといった海岸に生育する植物に多く見られる繁殖法である。

宿のすぐ近くにあるデンサー食堂で(八重山)そばを食べ、モダマが生育するというクーラ川河口の海岸へと向かった。


船浦海中道路

この日も天候は曇りで、風は強かった。特に海から遮るものがない船浦海中道路の上などでは、油断すると自転車が横転するのではないかというくらいの突風が時々吹いた。

宿から45分くらいで目的地に到着した。
さっそく多量の漂着物の中からモダマを探し始めた。

しばらく探すとモダマのサヤの一節をひとつ見つけることができた。モダマは中の豆が出てきた状態で打ち上がることもあれば、サヤの中におさまったまま打ち上がることもある。
この浜で見つけたのはモダマだけではなかった。僕がアシブトメミズムシという海岸の漂着物の裏に生息する虫などを探していたところ、海藻の間でたくさんの虫が跳ねているのを発見した。ウミアメンボの一種であった。この仲間のいくつかは外洋に生息し、海が荒れた時に稀に海岸に打ち上がるという珍虫である。風の強いのは迷惑であるが、珍虫との出会いを作ってくれたとも言えるのかもしれない。(ウミアメンボについては以前の記事で詳しく書きました)
2時間弱浜をうろついてから宿へと戻った。宿に戻ってからすぐ、村田自然塾のひげさんのところへ向かった。浜で何匹か捕まえたウミアメンボを見せるためである。
ひげさんは強風吹く中、近所の人?と外でお茶を飲んでいた。僕はそこに入らせてもらい、お茶をいただきながら、ひげさんたちにウミアメンボをお見せした。途中からはひげさんの奥さんやお子さんたちも加わり、ウミアメンボをしばし観察した。そのうち水面に浮かんでいたはすのウミアメンボの何匹かが背面泳ぎをしていることに気がついた。ひげさんは「これが普通ちゃうんか」と言ったが、僕には良く分からなかった。そもそも種類も良く分からなかった。しばらくして、僕が、ウミアメンボのことを盛口満さんの著書「ゲッチョ昆虫記 どうぶつ社」で知ったと言ったこともあり、ひげさんが「ゲッチョ(盛口さんのニックネーム)に聞いてみるか?」と提案された。ひげさんと盛口さんは友人なのである。
ひげさんはケータイで盛口さんに電話を始めた。ひげさんは「ゲッチョの大ファンが来てて…ゲッチョの本を10冊以上持ってて…」などと言ってケータイを僕に変わった。僕は、「海岸で見つけたんですが、これは外洋性のウミアメンボでしょうか?」などと盛口さんに質問した。捕まえた状況について色々と話したら、盛口さん曰く、恐らく外洋性の種でしょうということであった。他にも「標本にするならアルコール漬けがいいよ」とか、「湿ったティッシュの上に置いておくと長生きするよ」などと教えていただいた。他にも色々とお話ししたかったが、僕は電話での会話が苦手で、あまりうまくしゃべれない。お礼だけ言ってひげさんにケータイをお返しした。

16時半ごろ、ひげさんたちと別れた。ひげさんたちは川で野生化したグッピーを取りに行くということだった。

宿に戻って一休憩しながら前日に拾ったオヒルギの胎生種子を眺めていると、小さな蛾がついていることに気がついた。写真の左下に見えるのがこの蛾の抜け殻である。どうやらオヒルギの胎生種子の中で幼虫が育つ種のようだった。面白い虫がいるものである。

それから2日前に食べたパイナップルの皮を飲み残しのチューハイで湿らせたティッシュでくるみ、それを朝にクワガタを見つけた琉球大の研究所がある道沿いの場所に行き、置きにいった。翌朝行けば、クワガタがやってくるかも、という算段である。


18:30夕食。

23時ごろ就寝。




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