7月11日
この日はハルツ山地の最高峰、ブロッケン山に登った。山麓から山頂直下にはオウシュウトウヒPicea abies1種で構成される針葉樹林が広がる。
林床植生には2タイプあり、一つが左写真のようにツツジ科の小低木が繁茂し、ミズゴケ等も生えるもの。湿った立地に特徴的なようで、植物社会学的にはSphagno gigensohnii-Piceetumに位置づけられる。
もう一タイプはイネ科草本などが優占し、シダ植物なども生えるもの。乾いた立地に成立するタイプのようで、Calamagrostio villosae-Piceetumとされるものだろう。
こちらのタイプの方が、日本の亜高山針葉樹林の林床に似ているかもしれない。
オウシュウトウヒPicea abies (Pinaceae マツ科)
ドイツトウヒとも。松ぼっくり(球果)は上部の枝にまとめて付ける傾向がある。
ブロッケン山のオウシュウトウヒには在来系統と植栽由来の外来系統の2つがあるが、在来系統はほぼ絶滅状態らしい。
Sorbus aucuparia (Rosaceae バラ科)
和名:セイヨウナナカマド
低木層や亜高木層を構成するのは、本種やBetula pubescens(ヨーロッパダケカンバ)、オウシュウトウヒの幼木のみで、とても単純。
Vaccinium myrtillus (Ericaceae ツツジ科)
ブルーベリーの一種で、果実は美味しい。
コケモモVaccinium vitis-idaea (Ericaceae ツツジ科)とミズゴケの仲間Sphagnum sp. (Sphagnaceae ミズゴケ科)
コメススキDeschampsia flexuosa (Poaceae イネ科)
本種以外のイネ科では、ノガリヤスの仲間Calamagrostis villosaが多い。
ツマトリソウTrientalis europaea (Primulaceae ツツジ科)
枯死したオウシュウトウヒの集団。枯死の原因として、数年前の渇水による乾燥ストレスや、キクイムシによる食害などが挙げられている。
一時はブロッケン山のトウヒ林が消滅する、と心配されたらしいが、全面枯死には至らず枯死跡には後継樹も育っている。
しかしながら、近年の気候変動を鑑みると、大量枯死は再発しうるのではないかと思われる。
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