標高約50 mを超えると、低木群落の構成種が海岸部とは異なってきた。
シチリア本土の沿岸の低木林(マキーmaquisもしくはガリグーgarrigue)と共通する種が多いが、種組成はやや単純なようだ。
Euphorbia dendroides L.(トウダイグサ科トウダイグサ属)
種小名の通り、木本になるトウダイグサの仲間。
Pistacia lentiscus L. (ウルシ科カイノキ属)
ナッツのピスタチオと同属。
本属の数種は、地中海の低木林の主要構成種となっている。
シチリア本土では頻繁に見かけたが、ストロンボリではそれほど多くないように感じた。
低木としてはこれらの他に、Artemisia arborescens(キク科ヨモギ属)、Cytisus sp. (マメ科エニシダ属)、海岸部と共通のGenista sp. ?(マメ科ヒトツバエニシダ属?)などが見られた。
Rubus canescens DC. ? (バラ科キイチゴ属)
つる性木本も多く見られた。
これはキイチゴの仲間。美味しそうな実を付けていたが、残念ながら砂ぼこりをかぶっていた。
Smilax aspera L. (サルトリイバラ科サルトリイバラ属)
標高150 m付近の一部では、サトウキビの仲間Saccharum spontaneum L. ?(イネ科ワセオバナ属)の高さ2.5 m位の密な群落が見られた。
自然植生ではなく、人為攪乱の影響を受けているように感じたが、詳しいことは分からない。
Saccharum spontaneum ?の根元。
かたい毛が生えている。
Silene sp. (ナデシコ科マンテマ属)
サトウキビ属の群落などでよく見かけた。
シソ科の草本(Lamiaceae sp.)
動物も見かけた。
写真はトカゲの一種。
ゴミムシダマシの仲間。
標高250 m辺りを超えると、低木群落の構成種が少なくなってきた。
優占しているのはレダマ Spartium junceum (マメ科レダマ属)やGenista sp. ?(マメ科ヒトツバエニシダ属?)、Cistus sp. (ハンニチバナ科ゴジアオイ属)である。
レダマ Spartium junceum
恐らくレダマで良いと思う。
マメ科の低木は様々な種類があり、種同定が難しい。
Cistus sp.
Cistisの仲間はバラに似た美しい花を咲かせる低木で、岩場によく生えることから「rock rose」と呼ばれる。但し、バラとは科が異なる。
Cytinus hypocistis (L.) L. ?(キティヌス科キティヌス属)
Cistisに寄生する全寄生植物。春先に美しい花を咲かせるらしいが、時期柄枯れていた。
一見するとハマウツボ科のように見えるが、別科に属する。
イネ科の一種(Poaceae sp.)
標高が上がると木本が減少し、それを埋めるようににイネ科草本が目立つようになってきた。
Dactylis sp. ? (イネ科カモガヤ属?)
カモガヤの仲間と思われる草本。
標高400 mの展望ポイントに着いた。ここから上へはガイド無しでは進めない。
火口までの距離は1 km強。
しばらくすると山羊が姿を現した。「ぼんっ」という噴火の音に混じって彼らの鳴き声が山中に響きわたる。
噴煙をあげるストロンボリ山。
10分~数十分おきに噴火を繰り返し、噴煙と溶岩を出す。大きめの噴火の際には1 km離れた展望ポイントでも「ぼんっ」と爆発音が聞こえるが、小規模な場合はほとんど音が聞こえず、噴煙の放出量も少ない。
火口から噴き上がった溶岩(噴石といった方が正確か?)は、山頂から続く大崩落斜面、「シャーラ・デル・フォッコ(Sciara del Fuoco)」をゴロゴロと音を立てて転がっていく。シャーラ・デル・フォッコの奥に見えるのはサリーナ島(Salina)、フィリクーディ島(Filicudi)、アリクーディ島(Alicudi)。
日没を過ぎると、日中には目立たなかった溶岩が赤色を帯びて見えてきた。
この時間帯になると洋上から噴火を見るために、ツアー船がシャーラ・デル・フォッコ付近を目指して集まってくる。
空が暗くなると、火口からは常に少量の溶岩が噴き上がっているのが分かるようになる。
爆発音と共に、激しく溶岩が上がった。
21時頃に下山を開始、22時前に標高150 mに位置するレストラン「Osservatorio」に着いた。
ストロンボリの噴火と満天の星空を見ながらの夕食は素晴らしかった。
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