セブンシスターズの丘上から見たCuckmere川の河口付近。礫(れき)からなる浜が成立し、その後背には塩沼地が広がっている。
礫浜植生を構成するのは、大型草本やつる植物などである。
Crambe maritima(Brassicaceae アブラナ科)
英名はSea Kaleで、大柄なケールのような姿をしている。食味は薄塩味のキャベツといった感じ。野菜として栽培されることもあるらしい。
ツノゲシGlaucium flavum(Papaveraceae ケシ科)
セイヨウヤマホロシSolanum dulcamara(Solanaceae ナス科)
日本のヤマホロシによく似ていて、変種関係とする見解も。
ベラドンナAtropa belladonna(Solanaceae ナス科)
後背地は礫が移動せず安定している。地衣類やコケ植物が多い。出現する植物もがらりと変わり、どちらかといえば崖上の草原に種組成が似ている。
セリバオオバコ?Plantago coronopus ?(Plantaginaceae オオバコ科)
小型のオオバコで葉が切れ込む。セリバオオバコだと思うが、別種かもしれない。
キク科の何か
CrepisかHypochoeris、Leontodon、Hieraciumの各属のいずれかだと思うが、今のところ検討がついていない。
Festuca sp. (Poaceae イネ科)
周りにはコケや地衣類も生えている。
オウシュウマンネングサSedum acre(Crussulaceae ベンケイソウ科)
2019年7月24日水曜日
2019年7月23日火曜日
セブンシスターズの塩沼地植生
7月21日
イングランドの有名な景勝地、セブンシスターズを訪れた。
London Bridge駅から鉄道でBrightonへ。Brightonからはバスで移動。
ビジターセンター近くのバス停で下車。
日曜日故か、乗客が非常に多かった。
昼食の際、Robinの名で知られるヨーロッパコマドリ(Erithacus rubecula)がやってきた。
セブンシスターズの西側を流下するCuckmere川。河口近くには砂質の塩沼地が広がっている。
Halimione portulacoides(ヒユ科)
優占種。ハマアカザ属Atriplexに似ているが別属らしい。Atriplexの仲間(ホコガタアカザ?)も少し生えていた。
Puccinellia maritima(イネ科チシマドジョウツナギ属)
Elytrigia atherica(イネ科シバムギ属)
Festuca sp. (イネ科ウシノケグサ属)
オオウシノケグサF. rubraかもしれないが、自信なし。
Spartina anglica(イネ科ヒガタアシ属)
ヨーロッパ在来種のS. maritimaと北米原産のS. alternifloraの交雑起源の種らしい。
Plantago maritima(オオバコ科オオバコ属)
葉は細長くて分厚く、オオバコらしからぬ姿。最初はシバナの仲間だと思った。
Artemisia maritima (キク科ヨモギ属)
日本のフクドに少し似ている。
Beta vulgaris (ヒユ科フダンソウ属)
フダンソウ(スイスチャード)の原種にあたる。
Spergularia media(ナデシコ科ウシオツメクサ属)
同属の別種の可能性もある。
アッケシソウSalicornia europaea (ヒユ科アッケシソウ属)
かく乱される立地では、一年草の本種が優占していた。同じような立地ではSuaeda maritimaもみられた。
Limonium vulgare (イソマツ科イソマツ属)
塩沼地では数少ない、鮮やかな花をつける植物。チョウやガの仲間が頻繁にやってきていた。
Zygaena trifolii?(マダラガ科)
昼行性の美しい蛾。イギリスにはZygaenaの数種が分布するらしいが恐らく本種。
セセリチョウの一種
堤防をはさんだ反対側には、泥質の塩沼地が広がっていた。川に面していないため泥が堆積しやすいことや、放牧されている牛によるかく乱があるため、川岸と環境が異なるようだ。
オオシバナTriglochin maritima(シバナ科シバナ属)
泥質の塩沼地の優占種。砂質の立地にもわずかに生えていた(写真は砂質地で撮影)。
イングランドの有名な景勝地、セブンシスターズを訪れた。
London Bridge駅から鉄道でBrightonへ。Brightonからはバスで移動。
ビジターセンター近くのバス停で下車。
日曜日故か、乗客が非常に多かった。
昼食の際、Robinの名で知られるヨーロッパコマドリ(Erithacus rubecula)がやってきた。
セブンシスターズの西側を流下するCuckmere川。河口近くには砂質の塩沼地が広がっている。
Halimione portulacoides(ヒユ科)
優占種。ハマアカザ属Atriplexに似ているが別属らしい。Atriplexの仲間(ホコガタアカザ?)も少し生えていた。
Puccinellia maritima(イネ科チシマドジョウツナギ属)
Elytrigia atherica(イネ科シバムギ属)
Festuca sp. (イネ科ウシノケグサ属)
オオウシノケグサF. rubraかもしれないが、自信なし。
Spartina anglica(イネ科ヒガタアシ属)
ヨーロッパ在来種のS. maritimaと北米原産のS. alternifloraの交雑起源の種らしい。
Plantago maritima(オオバコ科オオバコ属)
葉は細長くて分厚く、オオバコらしからぬ姿。最初はシバナの仲間だと思った。
Artemisia maritima (キク科ヨモギ属)
日本のフクドに少し似ている。
Beta vulgaris (ヒユ科フダンソウ属)
フダンソウ(スイスチャード)の原種にあたる。
Spergularia media(ナデシコ科ウシオツメクサ属)
同属の別種の可能性もある。
アッケシソウSalicornia europaea (ヒユ科アッケシソウ属)
かく乱される立地では、一年草の本種が優占していた。同じような立地ではSuaeda maritimaもみられた。
Limonium vulgare (イソマツ科イソマツ属)
塩沼地では数少ない、鮮やかな花をつける植物。チョウやガの仲間が頻繁にやってきていた。
Zygaena trifolii?(マダラガ科)
昼行性の美しい蛾。イギリスにはZygaenaの数種が分布するらしいが恐らく本種。
セセリチョウの一種
堤防をはさんだ反対側には、泥質の塩沼地が広がっていた。川に面していないため泥が堆積しやすいことや、放牧されている牛によるかく乱があるため、川岸と環境が異なるようだ。
オオシバナTriglochin maritima(シバナ科シバナ属)
泥質の塩沼地の優占種。砂質の立地にもわずかに生えていた(写真は砂質地で撮影)。
2019年7月19日金曜日
ハルツ山麓の重金属植生 (Heavy metal vegetation)
IAVSエクスカーションの最初の観察ポイントは、ハルツ山地から流下する川辺の植生。鉱山跡地から流出した鉱滓(こうさい Slag)が堆積し、亜鉛や銅、鉛、カドミウムといった重金属に富む立地になっている。ハルツ山地での鉱業は3000年以上の歴史を持ち、この立地はかなり持続的に保たれてきたらしい。
人の活動によって生まれた立地環境だが、特殊岩地に特有な植物たちが多く生育している。彼らの自然条件下での生育場所の多くは現在失われており、その代替立地として重要であることから保全の対象になっている。
Armeria maritima subsp. halleri (Plumbaginaceae イソマツ科)
A. maritima(ハナカンザシ)は塩性湿地などに生育するが、本亜種は重金属に富む立地に特有。
Minuartia verna ssp. hercynica
(Caryophyllaceae ナデシコ科タカネツメクサ属)
重金属立地に特有。日本にはM. vernaの変種のホソバツメクサ(var. japonica)が分布する。ホソバツメクサは蛇紋岩地などに限って分布しており、ハルツでの生育環境との関連を感じる。
Arabidopsis halleri
(Brassicaceae アブラナ科シロイヌナズナ属)
重金属立地に特有?
日本にはA. halleriの亜種ハクサンハタザオ(ssp. gemmifera)およびそれらの変種が分布する。
Silene vulgaris ssp. humilis
(Caryophyllaceae ナデシコ科マンテマ属)
シラタマソウ(S. vulgaris)は欧州に広く分布するが、亜種humilisは重金属立地に特有。
以下の種は重金属立地に特有な分類群ではないが、立地に適応した生態型を有しているらしい。
Campanula rotundifolia
(Campanulaceae キキョウ科ホタルブクロ属)
ツリガネニンジンに見えるがホタルブクロ属。
Agrostis capillaris
(Poaceae イネ科ヌカボ属)
スイバRumex acetosa
(Polygonaceae タデ科スイバ属)
日本でもおなじみのスイバは、ドイツを含むヨーロッパでも広く自生している。
Thymus pulegioides
(Lamiaceae シソ科イブキジャコウソウ属)
Stereocaulon vesuvianum
地衣類の一種。
いわゆるコケ(地衣類と蘚苔類)にも重金属立地に特有なものが含まれており、保全の対象になっている。
今回のエクスカーションでは、維管束植物と一緒に蘚苔類や地衣類の解説も多かった。
観察地の一部では、定期的に表土の剥ぎ取り(耕耘?)が行われている。現在では上流からのスラグの供給が止まっており、放置していると土壌がたまって表層の重金属濃度が低下し、特有の植物群落が失われるためである。
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