2017年11月24日金曜日

江の島にて 秋の植物観察

11月19日

某植物観察グループの観察会で江の島を訪れた。
江の島は幼い頃から何度となく通ったなじみ深い場所だが、ここ最近は訪れる機会がなかった。今回は約3年ぶりの訪問である。

先月の台風21号の影響は未だ色濃く、岩屋への歩道が閉鎖されていたほか、海辺では大破したボートも見られた。

イソギクChrysanthemum pacificum NakaiとツワブキFarfugium japonicum (L.) Kitam.(ともにキク科)

「山二つ」の道脇で花期を迎えていた。

ハマコンギクAster microcephalus (Miq.) Franch. et Sav. var. littoricola (Kitam.) Nor.Tanaka(キク科)

ノコンギクの海岸型変種で、葉が丸みを帯びて分厚く、光沢がある。別名エノシマヨメナ。ノコンギクとの区別に迷う個体も多かった。

ホウライカズラGardneria nutans Siebold et Zucc.(マチン科)

神奈川県植物誌2001によれば、神奈川県内では沿海地を中心に点々と分布するらしい。江の島での自生地は限られる。

ユキヨモギ?Artemisia momiyamae Kitam. ?(キク科)

葉の表面に白毛を密生するヨモギを見つけた。葉の裂片が広いなどの特徴を併せ持っており、ユキヨモギではないかと思うが自信はない。ヨモギとの間に雑種のイナムラヨモギを形成することが知られていて、島内でもどっちつかずの個体を多く見かけた。

モチノキIlex integra Thunb.(モチノキ科)

江の島の照葉樹林の主要構成種の一つ。
今年は成り年なのか、多くの個体が果実をたわわに付けていた。

イブキ(ビャクシン)Juniperus chinensis L.(ヒノキ科)

南向きの斜面にぽつりと生えていた。

ハチジョウススキMiscanthus condensatus Hack.(イネ科)

①ススキよりも葉の幅が広い、②葉の裏面が白色を帯び、③葉の縁がざらつかない、④葉舌が無毛、などが特徴。①②の特徴を持つが葉の縁が明らかにざらつき葉舌が有毛、というものはエノシマススキ(ススキとの雑種)と判断される。
江の島で見られるのは大半がエノシマススキのようで、ハチジョウススキは少ない。島内をくまなく歩いたところ、東側の崖地や空き地の一角にて、ハチジョウススキの特徴を一通り有する個体が小集団を作っているのを見つけた。

ハマヒサカキEurya emarginata (Thunb.) Makino(サカキ科)

花期を迎えていた。花の香りは都市ガスなどに形容される独特なもので、私はたくあんなどの漬け物臭を連想する。島内に広く植栽されており、野生化した個体もみられた。






観察した植物一覧(計173種)

■シダ植物(24種)
アイアスカイノデ?、アスカイノデ、イヌワラビ、イノモトソウ、イワガネゼンマイ、オオイタチシダ、オオバノイノモトソウ、オニヤブソテツ、オリヅルシダ、カニクサ、クマワラビ、コバノヒノキシダ?、タチシノブ、タマシダ(植栽)、トラノオシダ、ノキシノブ、ヒトツバ、ヒメオニヤブソテツ、ベニシダ?、ホウライシダ、ホシダ、ホラシノブ、マメヅタ、ミゾシダ
■裸子植物(4種)
クロマツ、ビャクシン、イヌマキ(植栽)、イチョウ(植栽)
■被子植物(8+31+106=145種)
・ウマノスズクサ科:オオバウマノスズクサ
・クスノキ科:ヤブニッケイ、タブノキ、シロダモ、ハマビワ(植栽、逸出)
・コショウ科:フウトウカズラ
・ドクダミ科:ドクダミ
・マツブサ科:サネカズラ
(■単子葉植物)
・イヌサフラン科:ホウチャクソウ
・イネ科:ヤマカモジグサ、キボウシノ、メダケ、アズマネザサ、エノシマススキ、ハチジョウススキ、セイバンモロコシ(外)、チガヤ、ケチヂミザサ、ヨシ
・カヤツリグサ科:ヒメカンスゲ、ヒゲスゲ、ナキリスゲ、イソアオスゲ、ホンモンジスゲ?
・キジカクシ科:ヤブラン、ノシラン、ハラン、オモト(逸出)
・サトイモ科:ウラシマソウ
・サルトリイバラ科:トゲナシサルトリイバラ
・ツユクサ科:ツユクサ、ノハカタカラクサ(外)、ヤブミョウガ
・ヒガンバナ科:スイセン(植栽)
・ヤマノイモ科:ヤマノイモ、オニドコロ
・ユリ科:スカシユリ、シンテッポウユリ
・ラン科:ツチアケビ
(■真正双子葉)
・アオキ科:アオキ
・アカネ科:オオアリドオシ、ハマサオトメカズラ
・アサ科:エノキ
・アジサイ科:ガクアジサイ(植栽個体多い)、マルバウツギ
・アブラナ科:ハマダイコン
・イラクサ科:イラクサ、ラセイタソウ、アオカラムシ、アオミズ
・ウコギ科:カクレミノ、ヤツデ、ハリギリ、キヅタ、セイヨウキヅタ(逸出)、カミヤツデ(逸出)
・オオバコ科:トウオオバコ、オオイヌノフグリ(外)
・カタバミ科:オオキバナカタバミ(外)、イモカタバミ?(外)、カタバミ
・キキョウ科:ホタルブクロ
・キク科:ツワブキ、ハマコンギク(ノコンギク含む?)、タイアザミ(イガアザミ含む?)、オニタビラコ、イソギク、ユキヨモギ(イナムラヨモギ含む?)、ヨモギ、ノゲシ、ガザニア(植栽)、セイヨウタンポポ(外)、コセンダングサ(外)、ハキダメギク(外)、アキノノゲシ
・キブシ科:エノシマキブシ
・キョウチクトウ科:テイカカズラ
・キンポウゲ科:センニンソウ
・グミ科:オオバグミ、マルバアキグミ
・クワ科:ヤマグワ、ヒメコウゾ、イヌビワ、イタビカズラ、オオイタビ
・ケシ科:キケマン
・サカキ科:ヒサカキ、ハマヒサカキ(植栽、逸出)
・サクラソウ科:マンリョウ、ハマボッス
・シソ科:オオムラサキシキブ、トウバナ、シチヘンゲ(ランタナ、逸出)、クサギ
・スイカズラ科:ハコネウツギ、スイカズラ
・スミレ科:タチツボスミレ、アカネスミレ?
・セリ科:ボタンボウフウ、アシタバ、ハマウド、ツボクサ
・タデ科:イヌタデ、ミズヒキ、ツルソバ、スイバ属の一種
・ツヅラフジ科:アオツヅラフジ、オオツヅラフジ
・ハマミズナ科:ツルナ
・ツバキ科:ヤブツバキ、サザンカ(植栽)
・トウダイグサ科:アカメガシワ
・トベラ科:トベラ
・ナス科:クコ、イヌホオズキ?、タマサンゴ(逸出)、ヒヨドリジョウゴ
・ニシキギ科:マサキ
・ニレ科:ムクノキ
・バラ科:カジイチゴ、シャリンバイ、ソメイヨシノ(植栽)、ヘビイチゴorヤブヘビイチゴ
・ヒユ科:ホソバアカザ?
・ヒルガオ科:セイヨウノアサガオ(逸出)
・ブドウ科:エビヅル、ノブドウ、ツタ、ヤブガラシ
・ブナ科:コナラ、スダジイ、マテバシイ(植栽)
・ベンケイソウ科:タイトゴメ、オカタイトゴメ(外)
・マチン科:ホウライカズラ
・マメ科:クズ、ヤハズエンドウ、フジ
・ミカン科:カラスザンショウ
・モクセイ科:オオバイボタ
・ユキノシタ科:ユキノシタ
・ユズリハ科:ヒメユズリハ
・レンプクソウ科:ニワトコ

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