2015年12月1日火曜日

カヤランは1年に何枚葉を出すのか (栽培下における観察)

自宅にて、カヤランThrixspermum japonicumラン科)を栽培している。自生地の地面に落下しているところを見つけ、拾ったものだ。

樹上生活者のカヤランを、近くで観察できる機会はあまり多くない。栽培下の環境は自生地のそれとは異なるものの、本種をじっくりと観察するよい機会であるといえる。

成長をしばらく追ってみた。

4月23日

約3週間前に拾った個体。
成長済みの葉4枚と、新葉1枚からなる。

新葉は今年出たのか、前年からあったのかは分からないが、ここでは今年1枚目の葉と仮定し、番号1を振る。


5月21日

1枚目の葉がほぼ伸びきった。


6月2日

2枚目の葉が出てきた。


7月8日

2枚目の葉が大分成長した。


7月27日

2枚目の葉がほぼ伸びきった。
3枚目の葉が出てきた。

葉に加え、新しい根が伸長を始めた。


8月24日

3枚目の葉が大分成長した。


9月29日

3枚目の葉がほぼ伸びきった。
4枚目の葉が出てきた。

新しい根の先端が、ヘゴ棒に付き始めた。


10月28日

4枚目の葉が少し伸びた。

根の伸長が著しい。


11月28日

4枚目の葉は、10月28日と比較してわずかに伸びた。

根はかなり伸長した。
先端の緑色の部分が少なくなったので、これからしばらくはあまり伸びないかもしれない。



4月から11月までの約7か月の間に、元からあった葉1枚が伸び、新しい葉3枚を出したことになる。冬季の成長速度が分からないので何とも言えないが、1年間で展開する葉は3-4枚、と考えることができそうだ。

野生化における展葉ペースについては、年2-3枚(4月-8月で1-2枚、9月-4月で1枚)との報告がある(松村・澤田 2009)。また、年3-4枚葉を展開するとの情報がweb上にある(「カヤランの一生」四国カルストで花道楽)。
我が家の栽培個体の展葉枚数は、これらと類似したものになった。

なお、web上には年に1枚だけ展葉する、との記述もある。これが正しい情報なのかは分からないが、個体の齢数や活力度、生育環境の違いなどによっては、ゆっくりと成長する場合もあるのかもしれない。



<参考>
松村俊和・澤田佳宏 2009. 風倒木着生個体から推定したカヤランの個体群統計

カヤランの一生
四国カルストで花道楽http://blogs.yahoo.co.jp/hanadouraku2/11660970.html(2015年11月閲覧)




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