学会と旅行のため、オーストラリアを訪れている。
オーストラリアはコアラやカンガルーなどの動物だけでなく植物も固有のものが多い。
例えば、ヤマモガシ科(バンクシア属など)やマメ科(アカシア属など)、フトモモ科(ユーカリ属など)は多様な種に分化していて、それらによって形作られる景観は日本とは全く異なるものである。
一方、市街地を歩くと道端には見覚えのある植物が目立つ。
上の写真は芝生地を撮影したもので、セイヨウタンポポ、オランダミミナグサ、シロツメクサなど日本でもおなじみのヨーロッパ原産の草本が生えていることが分かる。
街を歩いていると、他にも様々な草本に出会った。
Poa sp.(イネ科)
スズメノカタビラに似た草本。
Cardamine sp.
(アブラナ科)
タネツケバナの仲間。
日本においてはミチタネツケバナ(C. hirtsuta)やコタネツケバナ(C. debilis)が帰化種として知られている。
ノボロギク
Senecio vulgaris (キク科)
日本でもよく見かけるノボロギクと思う。
チャボタイゲキ
Euphorbia peplus
(トウダイグサ科)
日本にも帰化しているが、それほど多くは見られない(と思う)チャボタイゲキ。
ここパースでは数多く見られた。
同じトウダイグサ科ではホルトソウ(Euphorbia lathyris )と思われるものもあった。
ニセカラクサケマン?Fumaria capreolata (ケマンソウ科orケシ科)
こちらも日本ではあまり一般的でないニセカラクサケマンと思われる植物。
パースにおいては特に目立つ種の一つで、公園や道端のあちこちで繁茂していた。
本種を含むFumaria属のうち、日本には本種とカラクサケマン、セイヨウエンゴサクがヨーロッパ原産の帰化種として侵入しているらしい。
上で紹介した他にもノゲシ、ヨツバハコベ、タチイヌノフグリ、カラスムギの仲間、チチコグサの仲間などが見られた。
今回観察した道端の草、いわゆる雑草が日本で見られるものと同種なのか、それとも同属の別種なのかは、しっかりと種同定を行っていないので分からない。少なくとも、日本でもよく見かけるヨーロッパ原産の草たちが帰化しているのは間違いなさそうだ。
雑草として生えていたもののうちオーストラリア原産の種はマメカミツレくらいで、しかも本種は日本でも目立つ帰化種の一つである。パース市内の雑草はほぼ帰化植物で占められていると言ってよいと思う。
日本から遠く離れた地でも、同じ温帯域であれば市街地に現れる植物はそれほど変わらないことを実感した。むしろ、一部に在来種を含む日本の雑草群よりも、より帰化種の存在を強く感じた。
オーストラリアにおいて8~9月は春に当たる。日本においても春季の雑草にはヨーロッパ原産の帰化種が目立つ。
一方、日本では夏になるとセイタカアワダチソウやオオアレチノギクを始め、北米大陸や熱帯域からやってきた種が多くなる。パース市の夏季の雑草がどのようなものか気になるところである。
最後に西オーストラリアらしい植物をひとつ。
Kings Parkで見かけたCaladenia latifolia(ラン科)。
現地ではPink fairyと呼ばれている。
オーストラリア在来の植物についても写真を整理し次第紹介したい。
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