2014年4月13日日曜日

乾燥水苔に見る南米チリの植物たち その①


着生ランなどの栽培のためにホームセンターで乾燥ミズゴケを購入した。 産地は南米のチリ。






乾燥ミズゴケには、しばしばミズゴケではない植物の枝葉が混入している。 それらは園芸家から見ればただの「ゴミ」であるわけだが、考えてみれば地球の裏側の植物の乾燥標本が手元に届いているようなもので、なかなかに興味深い。

何年か前に、ちりめんじゃこの中のシラス(イワシの子供)以外の小魚やカニの幼生といった「チリモン(チリメンモンスター)」が話題となった。ミズゴケ中の植物たちはいわばミズゴケ版チリモン「ミズゴケモンスター(コケモン?)」といったところか。


ミズゴケには植物だけでなく時に虫なども混じっているようで、検索したところミズゴケに混入した南半球産のカメムシについて紹介されているブログがあった。(害虫屋の雑記帳:園芸店で南半球のカメムシを買う http://homeservice.blog.ocn.ne.jp/gaityuya/2014/02/post_e185.html 2014年4月12日現在)
こちらの虫の方が植物よりも「コケモン」にふさわしいかもしれない。





それでは僕が見た植物たちについて。


ミズゴケから選り分けた植物の枝葉など。
ミズゴケは1袋150gだった。

乾燥して丸まったりもろくなったりしていたので、ぬるま湯で戻してから判別を試みた。




まずは木本と思われるものから。



ナンキョクブナの一種

葉の長さ1.5~3cm、幅1~1.5cm、葉柄0.3~0.5cm。葉はかなり硬質で、常緑の可能性が高そう。





ナンキョクブナは主に南半球に見られるナンキョクブナ科の木本で、そのうちチリには10種類のナンキョクブナ属Nothofagusが分布するらしい。
絵合わせから、今回のものはNothofagus nitida、もしくはN. dombeyiではないかと思ったが自信はない。




Luma chewuen

葉の長さ1.2~2cm、幅0.8~1.2cm、葉柄0.2~0.3cm。葉はやや分厚いが硬くはない。葉裏に黒い斑点が多くあったが、元々の特徴かは不明。



日本のツゲに何となく似た雰囲気。Luma chewuenには葉裏に黒い斑点(腺点)が散在するようで、形状も似ていることからとりあえず本種とした。




樹木sp. 1

葉の長さ0.5~1cm、幅0.3~0.5cm、葉柄0.1cm。茎(地下茎?)は長く、ミズゴケ中にもぐり込んでいた。





見当が付かず。
ミズゴケの中を這うように伸びて生活している小低木、もしくは草本と考えられた。日本の植物で例えると、やはりミズゴケ湿地などで這って生育するツルコケモモなどに近い存在だろうか。
 
 

樹木sp.2の葉の拡大。

随分と肉厚の葉で、葉裏の主脈が突き出す。
葉の表はボツボツとへこんでいる。



イグサ属の一種① Juncus sp.1

日本でも湿地においていくつかのイグサ属Juncusの草本が生育するが、本種も同属と
思われる。ただし種類は分からず。



日本のイグサと比べて随分と茎が太く、大型の種と思われた。ミズゴケ中には大量の木の枝のようなものが混入していたが、そのほとんどが本種であるようだった。

ミズゴケを採取する湿地においてかなり重要な種であるのかもしれない。

 
 

イグサ属の一種①の果実部分の拡大。

日本のイグサ属では、果実の形態が種判別の重要なカギとなることがある。今回見つけた種も、果実形態などをもとに種同定が可能なのかもしれないが、今回はそこまで力は及ばず。


イグサ属の一種② Juncus sp.2

前述のイグサ属①と比較してはるかに華奢な草体で、花序もまばら。

そもそもイグサ科すら自信がない。ひとまずイグサ属の一種としているが、カヤツリグサ科かもしれない・・・。


イグサ属の一種②の果実部分の拡大

状態が悪く、種判別はおろかイグサ属なのかすら僕には確証が持てなかった。





他にもいくつかの植物が見つかりましたが、長くなるので続きは別記事にて。


参考ホームページ

・Chileflora http://www.chileflora.com/index.html (2014年4月12日現在)

・Wikipedia英語版 Nothofagus http://en.wikipedia.org/wiki/Nothofagus  (2014年4月12日現在)

・害虫屋の雑記帳 http://homeservice.blog.ocn.ne.jp/gaityuya/ (2014年4月12日現在)







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