2017年6月19日月曜日

シチリアの海浜植生

イタリアのシチリア島南部のGela近郊にて、砂浜の植物や植生を観察した。シチリアの砂浜は海水浴場として開発されていることが多く、良好な海浜植生が残っている場所はあまり多くないらしい。

















シチリアの砂浜では波打ち際側から順に、
Cakile maritimaSalsola soda ?などが散生するエリア
Eryngium maritimumAmmophila arenariaが主に優占し、Medicago marinumOnonis variegataEuphorbia paraliasElytrigia junceaなどの草本も生育する草本群落
Ephedra fragilisRetama raetam subsp. gussoneiJuniperus macrocarpaなどの低木が優占し、Asparagus stipularisなどのつる植物や、その他様々な草本が生育する低木群落

が見られた。日本の海浜植生と比較すると、地面を這う”つる”植物(例えばハマゴウ、ハマヒルガオ、ハマエンドウ)が非常に少なく、茎が立つ草本が多いのが印象的である。日本との共通種はハマヒルガオやハマビシなど少数に限られ、そのうちハマヒルガオは見つけられなかった。

Cakile maritima(アブラナ科オニハマダイコン属)
一年草

日本では同属のオニハマダイコンが外来種として、やはり砂浜でみられる。

Salsola soda ?(ヒユ科オカヒジキ属)
一年草

日本には同属のオカヒジキが分布。

Eryngium maritimum(セリ科)
多年草?

草体には鋭いトゲが多く、かつ紫色を帯び、ひときわ存在感を放っていた。キク科のように見えるがセリ科。
日本には見られない属。

Ammophila arenaria(イネ科オオハマガヤ属)
多年草。

英名はEuropean beachgrass。日本には同属で北米原産のオオハマガヤが導入されている。
ハマニンニク(日本の在来種)と似た姿をしている。

Euphorbia paralias(トウダイグサ科トウダイグサ属)
多年草。

小さな葉が茎に整然と並ぶ様が格好良い。

Ononis variegata(マメ科)
一年草?

小型のマメ科草本。生育期の終盤で枯れかかっていた。
砂浜には多くの一年草が生育していたが、それらの生育期は冬から春にかけてで、ほとんどが枯れていた。

Ephedra fragilis(マオウ科マオウ属)
低木。

地中海沿岸にマオウの仲間が生えていることは知らなかった。より内陸側にはギョリュウ(Tamalix)の仲間も生育しており、地中海沿岸が中国内陸部から続く乾燥地帯の延長に位置することを感じさせられた。

Retama raetam subsp. gussonei(マメ科)
低木。

マオウに似た姿をしたマメ科木本。








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2017年6月18日日曜日

日本からシチリアまでの空路

6月11日~12日

国際学会(International Association for Vegetation Science)のシンポジウムとエクスカーションに参加するため、イタリアのシチリア島へ向かった。私にとって初の欧州旅行になる。

経路は成田空港→アブダビ(アラブ首長国連邦)→ローマ(イタリア本土)→パレルモ(シチリア)

日本列島のこの日の天気は曇り。雲頂の高度は3,000 m位で、雲海から富士山が顔をのぞかせていた。

赤石山脈(南アルプス)

白根三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)付近だろうか。

御嶽山

山頂付近から噴煙が立ち上っているのが見えた。

名古屋付近。
木曽三川(長良川、木曽川、揖斐川)が夕陽を反射して輝いていた。

その後は大阪上空、瀬戸内海上空、福岡県上空を通過。
中国大陸に達する前に日没。

飛行機はヒマラヤ山脈の南側を飛び、途中でインドのニューデリー付近の街灯りが見えた。

座席備え付けの画面では、目的地に加えてメッカの方角を示すことができた。
今回利用したエティハド航空はアブダビ(アラブ首長国連邦の構成国の一つ)の国営企業で、国教がイスラム教なので、このような機能があるのだろう。

夜中の12時頃、アブダビ到着。
夜中にも関わらず気温は32℃もあり、湿度が高いので非常に蒸し暑かった。

朝7時頃
ローマ フィウミチーノ空港到着。

エティハド航空からアリタリア航空の飛行機に乗り換えた。
アリタリア航空は経営破綻しており、ストライキも行われているため身構えていたが、特に問題は感じなかった。

フィウミチーノ市上空。

出発から1時間強でシチリア島が見えてきた。急峻な岩山が海岸線まで迫っている。

15時頃にパレルモ空港に到着。片道6€のバスでパレルモ市外へ向かった。

17時頃 宿に到着。自宅を出発してから約35時間の長旅だった。







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