2017年1月18日水曜日

ワダンのタネ

1月17日

房総半島南部にてワダンの花序を採取し、タネを観察した。

ワダンCrepidiastrum platyphyllumはキク科アゼトウナ属の多年草。
分布域はかなり狭く、関東南部沿岸(千葉県~神奈川県)と伊豆諸島に限られている。かつては静岡県伊豆半島にも分布していたらしい。



キク科に属する植物のタネ(正確には痩果と呼ばれる果実)には冠毛、いわゆる綿毛が付いていることが多い。この冠毛によってキク科植物のタネは風に乗り、遠方へ運ばれる。





ワダンのタネにも冠毛が付いているが、冠毛はタネ本体とほぼ同長なため滞空時間をかせぐには不十分なようだ。実際、高所から手を離すとかなりの速度で落下し、タンポポのタネがふわふわと落下するのとは随分異なっていた。

ワダンの分布域の狭さには、タネの風散布能力の低さが一因として関わっているのかもしれない。
もっとも、海水に浮かんだり動物に付着したりすることでタネが運ばれる可能性も考えられるので、風散布能力=ワダンの種子散布能力ではないだろう。



2016年10月 三浦半島にて

花期の姿。

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