2016年7月25日月曜日

和歌山にて海岸植物の観察

7月17日



和歌山県西部の海岸部を訪れた。

目的地は御坊(ごぼう)市のとある川の河口。

一番の目当てはハマボウ Hibiscus hamabo (アオイ科 Malvaceae)だった。

ハマボウは日本の神奈川~奄美大島と韓国の済州(チェジュ)島に分布する落葉低木。ほぼ日本固有の樹木である(分布域が日本+済州島の植物は他にもいくつかあったと思う)。北限は島根県の隠岐諸島である。


ハマボウの生育する地面。泥地だが石やレキが多い。



アイアシ Phacelurus latifolius (イネ科 Poaceae)も一緒に生えていた。
本種も河口の湿地でよく見られる植物だ。

周囲で目立っていた他の植物はヨシ、アキニレ、エノキなど。

ハマボウを見たあとはさらに南下し、白浜町の有名な観光地へ。

思いのほか沢山の植物を見ることができた。




ユウスゲ Hemerocallis citrina var. vespertina (ススキノキ科 Xanthorrhoeaceae)。

昼間にもかかわらずよく咲いていた。曇天だったからかもしれない。
紀伊半島の海岸部では、ハマカンゾウよりもユウスゲが優勢なのだろうか。

ヒトモトススキ Cladium jamaicense subsp. chinense (カヤツリグサ科 Cyperaceae)。

海岸部の湿地に生育する大型の草本。ここでは段丘上の窪地に群生していた。





ほかに確認したおもな植物。
草本
ヒメヤブラン、クサスギカズラ、ヤリテンツキ?、(ハチジョウ?)ススキ、アゼトウナ、ハマアザミ
木本
クロマツ、ウバメガシ、テリハノイバラ、シャリンバイ、ナワシログミ、トベラ、ハマヒサカキ


出かけに付き合ってくれた友人たちに感謝。






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2016年7月14日木曜日

サン・クリストバルの丘の植物と植生(Plants and vegetation of San Cristóbal Hill, Santiago, Chile)

6月22日

南米チリの首都サンティアゴに位置し、観光地として有名なサン・クリストバルの丘((英)San Cristóbal Hill, (西)Cerro San Cristóbal)に登った。

山麓から頂上へは、ケーブルカーを使って登った。

サン・クリストバルの丘の標高は880 mでサンティアゴ市街との比高は約300 m。
この日は晴天で、市街地のビル群とアンデス山脈の対比を楽しむことができた。









サン・クリストバルの丘は木々に広く覆われ、一見すると自然豊かに見えるが、残念ながらその構成種の大半が外来種のようだ。

外来種の優占ぶりは相当なもので、本来の植生がどのようなものであったかを想像することが難しいほどだった。チリの森林植生は、外来種の侵入に対してぜい弱なのだろうか。

Pinus radiata ?(Pinaceae マツ科)

北米原産のP. radiata(ラジアータマツ)と思われる。

Eucalyptus sp. (Myrtaceae フトモモ科)の優占林。

オーストラリア原産のユーカリの一種。
所によって優占林を形成しており、オーストラリアの森に迷い込んだような錯覚を覚えるほどだった。

Olea europaea (オリーブ)(Oleaceae モクセイ科)

おなじみのオリーブも広く野生化していた。
オリーブの原産地は地中海沿岸。サン・クリストバルの丘が位置するチリ中部は地中海性気候に区分されており、本種の生育に適した気候なのだろう。

Flaxinus sp. (Oleaceae モクセイ科)

トネリコ属の一種。ヨーロッパ原産のセイヨウトネリコF. excelsiorだろうか。

Ligustrum sp. (Oleaceae モクセイ科)

ネズミモチ属の一種。本属は南米には分布しないので、外来種であることは間違いない。
Pittosporum tobira (トベラ) (Pittosporaceae トベラ科)

日本からもトベラが侵入。

Pittosporum sp. (Pittosporaceae トベラ科)

トベラ科の一種。日本のトベラと異なり小高木になる。オーストラリア原産のトベラの一種か?

Pyracantha sp. (Rosaceae バラ科)

日本でも園芸利用され、ときに逸出しているピラカンサの一種。原産はアジア~ヨーロッパなので、チリでも外来種。

バラ科の一種。

何となく見覚えのある樹木だが、今のところ種類不明。

Acacia sp. (Fabaceae マメ科)

アカシア属の一種。オーストラリア原産と思われるが不明。


これらの樹木の他に、キヅタの仲間やニセアカシアが野生化しているのを確認した。









次は、チリの在来種(だと思う)樹木。

Acacia sp. ? (Fabaceae マメ科)

チリには在来種のアカシア属もいくつかあるらしい。左写真の木は、もしかするとそれらのうちの一つかもしれない。

Schinus sp. (Anacardiaceae ウルシ科)

Schinus属はチリにも自生する。サン・クリストバルの丘に生育する高木の中で数少ない在来種(恐らく)である。

Tristerix sp. (Loranthaceae オオバヤドリギ科)

半寄生性の樹木。様々な樹種に寄生しており、個体数は多かった。

本属はチリに自生しており、写真のものも在来種と思われる。





種類不明。


写真の樹木を含め、いくつかの木は科名すら分からなかった。それらの中には在来種も含まれているのかもしれない。








続いて草本。草本も多くが外来種と思われた。

Senecio tamoides ? (Asteraceae キク科)

S. tamoidesだとすれば南アフリカ原産。つる性のキクで、低木を覆っていた。

Aloe arborescens (キダチアロエ) (Asphodelaceae ツルボラン科)

キダチアロエは日本でも広く栽培される。原産地は南アフリカ。

なお、本種の科名をツルボランとしたが、これはAPGⅣに従っている。APGⅢではススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)。

Fumaria sp. (Papaveraceae ケシ科)

本属の数種が日本にも帰化している(例えばカラクサケマン)。2年前に訪れた西オーストラリアでも広く帰化していた。

本属は地中海沿岸を原産とする種が多い。

Polygonum sp. (Polygonaceae タデ科)

ミチヤナギの仲間。いずれの種も北半球に分布するようなので、チリでは外来種である。

Lamium amplexicaule(ホトケノザ) 、
Stellaria sp. (ハコベ属の一種)、
Capsella sp. (ナズナ属の一種)

おなじみのホトケノザも生えていた。その周りにはハコベやナズナの仲間も生えていたが、種名は分からない。
3種ともチリでは外来種と考えられる。

Puya sp. (Bromeliaceae ブロメリア科)

ガレ場に生えていた。チリにはP. chilensisをはじめいくつかの種が自生しており、写真の種も在来種かもしれない。









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