2016年10月15日土曜日

三浦半島で見つけたクサトベラとグンバイヒルガオ

10月14日 三浦半島某所

海岸で植物の調査をしていた時のこと。

砂浜のネコノシタ群落の中に、見慣れない植物を見つけた。

近づいてみると、驚いたことにクサトベラScaevola taccada(クサトベラ科 Goodeniaceae)だった。

クサトベラは南西諸島や小笠原諸島の海岸ではよく見られる低木だが、その北限は屋久島や種子島とされる。
今回見つけた個体は、黒潮に乗って流れ着いた種子が発芽したものだろう。背丈は約20 cmあった。

本種の記録は、私が少し調べた限りでは神奈川県はおろか本土4島のいずれでも確認できなかった。
神奈川県で生えるくらいなら、九州や四国、紀伊半島などで記録があってもよさそうなものだが、種子が漂着して発芽にこぎつけるのは難しいのだろうか。
もう少し文献を確認したら、何かしらの形で報告しようと思う。


クサトベラから少し離れた所にはグンバイヒルガオIpomoea pes-caprae(ヒルガオ科 Convolvulaceae)も生えていた。

グンバイヒルガオもやはり南方系の海岸植物で、神奈川県では定着(開花・結実)していない。しかし、神奈川を含む本土各地で実生が見つかっており、私も京都府で見たことがある(過去記事)。

クサトベラと比較すると、グンバイヒルガオの種子は発芽しやすいのだろうか。というよりも、南方系の海岸植物のうち、グンバイヒルガオのように頻繁に実生が確認される種の方が少なく、グンバイヒルガオが異端児のような気がする。

追記(2019年3月)
神奈川自然誌資料(神奈川県立生命の星・地球博物館の紀要)に報告が載りました(http://nh.kanagawa-museum.jp/files/data/pdf/nhr/40/nhr40_019_023tetsu.pdf)。
「三浦市南部における3種の熱帯・亜熱帯性海岸植物の生育状況」というタイトルです。