gあたりの値段は隣にあったマクワウリの半額以下 |
この八丈島のシマウリを知ったのは、2年ほど前、盛口満さん著の「ゲッチョ先生の野菜探検記 木魂社 2009年」を読んだ時のこと。甘くない「モモルディカメロン」という品種群があり、日本では長崎の五島列島と八丈島でのみ栽培されているらしい、と書いてあった。
ネットで調べてみると、平安時代には広く普及したが、今では八丈島など一部に残るのみになってしまったそうだ。
2年前(2010年)、ちょうどサークルで八丈島へ旅行に行くことになった。島のスーパーの野菜売り場を探すと、早速それがあるのを見つけた。
残念なことに、購入時点で過熟状態だったシマウリは帰宅した時には腐ってしまい、食べることができなかった。今回はそのリベンジである。
家に持ち帰ったシマウリは皮に割れ目が入り、すばらしいメロンの香りを放ち始めた。皮が割れたら食べごろと聞いていたので夕食後に食べることにした。(上の写真の状態)
切ると、中から白い果肉が顔を出した。種の周りの見た目は普通のメロンと変わらない。しかし、果肉は明らかにジューシーさに欠けていた。切る時の感触を例えると、ナスを切った時に一番近い。
まずはそのまま食べてみた。
全く甘くない、というか無味である。粉質で、まるでマッシュポテトのよう。
香りだけはメロンだが、もそもそするし、味がないし、とてもそのまま食べられるものではない。のどに詰まりやすいから別名「ババゴロシ」と呼ばれているそうだがうなずける。
次に、島で一般的らしい食べ方、練乳(コンデンスミルク)をかけて食べてみた。
急に食べやすくなった。メロンの香りと練乳の甘さが合ってなかなか美味しい。食感の悪さも練乳でかなり解消された。
しかし、夕食後には甘すぎる。3時のおやつにはいいのかもしれない。
最後に同じく八丈島で買ったパッションフルーツをかけてみた。
パッションフルーツの濃厚な香りにメロン臭は完全にかき消された。もはや、シマウリはケーキの生地のような存在になってしまった。
しかし、決してパッションフルーツとミスマッチなわけではない。シマウリ自体の香りは良いし、味の主張がない分、他の食材との様々な組み合わせが考えられそうに思った。
八丈島で僕が友人にこのシマウリについて話したら、「練乳がない時代にどうやって食っていたんだ?」という話になった。かつてどのように食べていたかは分からないが、今回食べてみて、シマウリは必ずしもデザートとして食べるものとは限らないかもしれない、と感じた。
作物に興味がある僕としては、平安時代などには広く栽培されていたが、その後は廃れ、しかし八丈島では今でも栽培が続けられ、しかも練乳をかけて食べられている、ということにロマンを感じてしまう。 おおげさかもしれないが、シマウリは、かつての栽培文化の生き証人、というか文化そのものであると思う。
9月17日 追記
自宅で家族とともに残り半分を食べた。へたの部分まで食べたところで強い苦みを感じた。恐らくニガウリなどウリ科植物に含まれる苦み成分のククルビタシンによるものではないかと思う。
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