2014年2月19日水曜日

2月8日 東京で見た雪の結晶

2月8日、それから14日から15日にかけて、関東地方などの太平洋側が大雪となった。積雪深が観測史上最大を記録した地点も多くなった。
今回は8日の雪に関して書きます。


2月8日
朝。外を見てみると雪が積もり始めていた。気温は約-1.5℃、降雪時としてはいつになく低い。

ボタン雪とは異なるサラサラと細かい質で、テラスに積もった中には明らかに結晶が確認できた。
自分が住む関東南部平野部では、プラス気温で溶けかけた雪が降ることが多く、はっきりと結晶を見ることができる機会はなかなかないように思う。
黒い下敷きで雪を受け、結晶を観察した。



分類は「雨の科学 雲をつかむ話 武田喬男著」に載っていた降雪粒子の種類(メーソン1971)を参考にした。


デジタルカメラで接写。

今回見られた結晶の多くは針のように細長いものだった。「針状」や「角柱」と呼ばれるものであろう。


六角形の結晶も少なからず見られた。
これは「角板」と呼ばれるタイプと思われる。

いかにも雪らしい形をしたものも。ただ、この結晶が何に分類されるのかはよく分からず。

また表面のブツブツが目立った。これは、雲中の過冷却水滴が付着したものと思われ、このような結晶を「雲粒付き雪結晶」と呼ぶらしい。


今回使った分類のほかに、インターネット上には様々な雪結晶の区分が紹介されていた。
新しいところだと、2012年に菊池勝弘氏らが発表した「グローバル分類」があるそうで、機会があれば読んでみたいと思う。


ところで、なぜ雪の結晶の形は様々だったのか。
小林禎作氏が示した「小林ダイアグラム」(「雪は天から送られた手紙である」の言葉で知られる中谷宇吉郎氏の中谷ダイアグラムを拡張したもの)
によれば、雪の結晶の形は、形成時の気温や湿度に左右されるという。
今回見られた結晶のうち、「針状」や「角柱」は-3~-10℃の条件下で形成され、また湿度が高い(飽和している)時に針状となるそうだ。「角板」は0~-3℃、-10~-22℃の条件下で形成されるそうだ。ちなみにいわゆる雪印マークの「樹枝状」は-15℃前後で湿度が非常に高い時にできるとのこと。
ひとつの雲の中でも、高度や雲の濃さ(?)により温度や湿度が異なり、それに応じて様々な形の結晶が形成されて降ってきたのだろう。

2月9日
翌早朝。

アパートの周りでは30cm強は積もった。
アメダスで観測された積雪は千葉市で観測史上最大の33cm、東京で史上7位の27cm。
交通機関は大きく乱れ、人的被害も多発した。


美しい雪の結晶で僕を楽しませてくれた今回の大雪。同時に災害としての側面も痛感した。



参考
・雨の科学 -雲をつかむ話 武田 喬男著 成山堂 2005年5月28日初版、2006年7月28日初版第3刷発行
・Wikipedia 小林 禎作 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B0%8F%E6%9E%97%E7%A6%8E%E4%BD%9C(2014年2月19日現在)
・気象庁 過去の気象データ検索 http://www.data.jma.go.jp/obd/stats/etrn/index.php(2014年2月19日現在)



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2013年9月8日日曜日

鎌倉にて トキホコリ


9月6日

鎌倉のとあるお寺の境内にて。
トキホコリElatostema densiflorumが生えていた。

トキホコリはイラクサ科の一年生草本で、国のレッドデータで絶滅危惧Ⅱ類、神奈川県で絶滅危惧ⅠB類に指定されている。

僕の通う東京農工大学以外で初めて見ることができた。
トキホコリの「ホコリ」は「茂る」、とか「はびこる」、という意味だそうで、境内の半日陰で群生する姿はいかにもそれにふさわしかった。

目立つ草ではないし、お寺の方が本種の存在を気にしておられるのかは分からないが、今まで通りの管理が続く限り、これからも生き続けてくれるのだろう。





近くで咲いていた
センニンソウclematis terniflora


ネジバナSpiranthes sinensis
この時期に開花しているのは初めてみた。

ネジバナは通常のネジバナSpiranthes sinensis var. amoenaに対して秋咲きのものをアキネジバナS. sinensis var. amoena f. autumnusという品種に分けるそうだ。
これはアキネジバナに相当するのだろうか。








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2013年8月31日土曜日

住宅地の真ん中で ハグロトンボ

8月31日


大学から帰る途中、小学校の脇を通る細道にハグロトンボが落ちていた。
家に帰って撮影

ハグロトンボは主にゆるやかな流水の周辺で生息する。
最寄りの川までは1キロ以上離れているが、今日の強風でここまで飛ばされて車にでも轢かれたのだろうか。










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2013年6月26日水曜日

ハチジョウナナフシは単為生殖も行う

昨年八丈島を訪れた時にハチジョウナナフシEntoria sp.を採集した。(その時の記事はこちら

昨年12月末に羽化した成虫2匹は未だ健在(6月26日)で産卵を続けている。産卵自体は1月頃から始まっているから、かれこれ5カ月間産卵し続けているということになる。まだ正確に数えていないが、おそらく産卵数は2匹合計で500個を超えている。予想以上の寿命と産卵数だ。
(飼育の記録は別ブログ「てっちゃんの庭」で紹介しています)



ところで、「ナナフシのすべて」(岡田正哉著 トンボ出版)によれば、ハチジョウナナフシは両性生殖を行うという。実際、八丈島の生息地ではオス成虫の姿を見た。
しかし、今回捕まえてきたナナフシは羽化してみると2匹ともメスだった。オスがいなければ累代飼育ができないではないか、と残念に思った。

それでも、もしかすると単為生殖の可能性もあるかもしれないし、産卵数とかは記録しておかないともったいないな、と卵の保管は行うことにした。ナナフシの仲間はナナフシモドキやトゲナナフシなど単為生殖を行う種がかなり見られる。

虫かごに入れた卵が乾燥しないように、卵を載せたヨーグルトのフタの下に敷いたティッシュに水を補給し続けた。しかしカビの生える卵が増えてきたり、試しにいくつかの卵を割ってみても発育が進んでいる様子がなく、孵化はあきらめかけていた。


6月18日

いつものように虫かごの中を覗いてみると、なんと孵化が始まっていた。数日前から孵化は始まっていたようで、残念ながら既に餓死している個体もいた。
その後も少しずつ孵化が続き、26日現在6匹が健在である。

生物相手なら新発見はある意味当たり前のことなのだろうが、とりあえず「ハチジョウナナフシが単為生殖を行う」ことを初めて確認できたのだと思う。

その後インターネットでハチジョウナナフシや近縁?のアマミナナフシEntoria okinawaensisの生殖方式について調べた。ハチジョウナナフシについては「ナナフシのすべて」に書いてある以上のデータは出てこなかったが、アマミナナフシは案外飼育している方も多く、結構情報が出てくる。それによれば、アマミナナフシは両性生殖も単為生殖も両方行うそうだ。
ならば、ハチジョウナナフシが単為生殖を行っても何ら不思議はないだろう。


そもそも、僕の中ではハチジョウナナフシが固有の種なのか、また他の陸地と一度もつながったことのない海洋島である八丈島に自然分布していたのか、という疑問があった。
前回の記事では、トカラ列島と八丈島に分布する、ということから古い時代の非意図的な移入があったのではないか、などと勝手に想像してみた。今回も机上の空論ではあるがちょっと考えてみたい。

トカラ列島と八丈島のハチジョウナナフシが同じ種である、とすれば、一度もつながったことのない両地域で何らかの交流が起こったと考えなければならない。それは非意図的な人為によるものなのか、自然におこったものなのか、どちらなのかはDNAを調べて人の活動が関わるより前に分化したことが示されない限りは恐らく分からない。
飼育時に観察した限り、本種の産卵タイプは粘着型(粘着物で枝葉などに卵をくっつける)と落下型(地面にそのままポトリと落とす)の両方があるようである。
人為的移入だと仮定すると、「人が持ち込んだ枝や土に卵が入っていてそこから広がった」などと考えられるし、自然による分布拡大だと仮定すると、「卵がくっついていた枝葉や卵が挟まっていた朽ち木が台風後などに海に流され、それが流れ着いた」などと考えられると思う。(ちなみに、卵単体では全く水に浮かない。これは試してみたので確かである。)

一つ言えることは、本種が単為生殖を行えることから、偶然の移入による定着の可能性が両性生殖を行う種より格段に上がる、ということだ。極端にいえば、卵がたった1個島にたどり着いただけでも定着が可能になる。


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2013年6月21日金曜日

塩生湿地の植物 青森にて


6月15日

青森県にて。
卒業研究として海岸の湿地を見て回る。そこで見た塩生地の植物を少し紹介。

ウミミドリGlaux maritima
日本では本州北部~北海道に分布。
白色の花弁に見えるものは萼片であり花弁はない。
草丈は大きいもので10cmくらい、群生していて可愛らしかった。


シバナTriglochin asiaticum
日本では北海道~九州に分布、とはいえ北方系の種であるそうだ。
写真は花茎。葉は分厚くて細い棒状になっている。
葉を少しちぎってかじってみたら、塩味とともにドクダミを思わせる香りが口に広がった。

ドロイJuncus gracillimus
日本では北海道~九州に分布。
泥地に生えることからこの名前がついたのだろうか。(今回見た感じでは塩生地に生えるのはほぼ間違いなさそうだったが、必ずしも泥地ではなかったようにも思う)
写真の真ん中の白いものが花(まだつぼみ)である。

ヒメキンポウゲHalerpestes kawakamii
北海道~千葉県にかけて分布する日本固有種。
別名はツルヒキノカサで、個人的にはこちらの名の方がインパクトがあって好きだ。
砂地を好むようで泥の多い湿地にはあまり見られなかった。

今回観察したうち、ヒメキンポウゲとシバナは環境省のRDBで絶滅危惧種に指定、ウミミドリとドロイも都道府県レベルでは各地で絶滅危惧に指定されている。
これらの種は南方に行くとそもそも分布が局限されていて、それが希少種扱いの理由のひとつかもしれないが、それ以上に問題なのが沿岸部の開発による生息地破壊だと思われる。

ちなみに、観察地はほぼ確実に2011年の東日本大震災時の津波を被っているが、その影響は特にないようだ。(震災前を見ていないから断定はできないが・・・)

参考
・日本の野生植物 平凡社 1983年


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2013年5月21日火曜日

江の島の海岸植物

5月17日

江の島(神奈川県藤沢市)にて植物観察をした。
小さい頃から何度も行ったことのあるなじみ深い場所であるが、植物に本格的に興味を持ち始めてから訪れたことがなかった。
平日にも関わらず観光客がひしめく江の島での植物観察は(精神的にも)あまり楽でなかったが、それでも様々な植物に出会えて満足。


岩屋近くの崖地にて。

写真が若干白飛びしていて分かりづらいが、中央にある大きな植物がボタンボウフウPeucedanum japonicum、その手前で開花しているのがハマボッスLysimachia mauritianaである。

他にもススキ(ハチジョウススキだろうか?)、イソギクなどが確認できた。写真を見た感じでは他にもいくつかの種類がありそうである。
そのすぐ隣にはタイトゴメSedum japonicumが群生していた。まだ開花はしていなかった。
こちらはイヨカズラVincetoxicum japonicum
海岸付近で見られるガガイモ科カモメヅル属の多年生草本。
ただし、ガガイモ科はAPG分類体系でキョウチクトウ科に統合されているから、キョウチクトウ科の草本であるとも言える。
確かに葉が対生だったり、果実・種子形態が似ていたり、どちらもちぎると乳液が出る種が多かったりと共通点は多い、と思う。

APG分類体系は、在来広く用いられてきた形態を分類基準とする新エングラー分類体系と異なり、DNA分析を基にしている。だから、APGによる分類は実際に観察した時の感覚とズレてしまうのではないかと少々心配していたが、実際観察してみると「確かに共通点あるなー」と納得してしまう。不思議なものだ。


キケマン
Corydalis heterocarpa

大学に入ってから高尾山などでミヤマキケマンを見る機会は何度もあったが、キケマン自体を見るのは初めてのように思う。







学名はBG Plant Yリスト植物名検索に従っています。
http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.html



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2013年4月29日月曜日

4月19日 鎌倉で着生ランを見る

4月19日
鎌倉のとあるお寺にて。他の方々が仏閣や見頃のボタンを見ている中、一人ビャクシンを見上げる。

カヤランThrixspermum japonicumが開花していた。
着生ランとしては普通種であるそうだが、実際に見たのは今回が初めてだった。

こちらはムギランBulbophyllum inconspicuum
幹や枝に相当量が着生していて、今にも枝から落ちそうなほどだった。

花期は6月頃だそうで、種を飛ばした後の果実だけが残っていた。





神奈川県植物誌2001によれば、両種とも県内での分布は限られているようだ。特にムギランは極端に産地が限られており、県のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されている。
寺の背後に山があるから、生育に適した湿度が保たれたりしているのかもしれないが、門を出れば交通量がそれなりにある道路である。今回見た限りではそこまで特殊な環境だとは思えず、逆になぜ他の場所では見られないのか、不思議である。それとも既に周囲の環境は着生ランの生育には不適であり、昔から着生していたものが木とともに残存しているだけなのだろうか。(目立つ種ではないからエビネやカンランのように乱獲で減ったとは考えにくいだろう)

鎌倉の寺社は歴史的建造物として非常に価値のあるものだが、それと並んで多くの植物たちの住処としての価値も大きいように思う。周囲が開発などで生育に不適な環境に変化していく中、まさに駆け込み寺として機能していると言えるかもしれない。 将来的には再び分布を広げてほしいものだ。



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